不妊と漢方 排卵後~生理までが9日未満の場合
こんにちは、宇都宮市・天明堂薬局の中山です。
今日は妊活と漢方について書いてみたいと思います。
皆さんは基礎体温をつけていますか?
基礎体温は我々専門家がみるとその人の体質を知るヒントがたくさんあるため、特に漢方相談をしている方は基礎体温をつけてほしいです。
様々な情報が分かる中でも今回は「排卵後~生理までが9日未満の場合」について漢方解説したいと思います。
そもそも理想的な基礎体温は
・排卵後に0.3~0.5℃ほど体温が上がる
・約14日間継続した後に、生理を迎える
です。
では排卵後にさほど温度が上がらず高温期が9日未満の場合はどのような体質を疑うのでしょうか?
それは【黄体機能不全(LPD)】です。
不妊で悩まれている方のおよそ10%に認められるとされています。
黄体機能不全とは字のごとく「黄体の機能が全うされていない」つまり、「黄体ホルモンが十分に出ていない状態」です
黄体ホルモンは排卵後の内膜の成長や高温の安定に非常に重要なホルモンで、いわゆる妊娠の継続に関わります。
黄体機能不全になると内膜が育ちにくく、妊娠継続力が弱くなるため、
・着床しにくい
・流産しにくい
・生理時に出血量が少ない
などのリスクが高まります。
西洋医学では黄体機能不全の場合、「黄体ホルモンを補充すれば良いよね」というシンプルな理由でデュファストンやヒスロン、プラノバール(E・P合剤)を処方されます。
黄体機能不全に対する漢方によるアプローチ
漢方のアプローチは少し異なります。
漢方では「なぜ黄体ホルモンが低いのか?」を考えます。
その「なぜ?」の部分を改善すれば改善の方向に向かうと考えます。
そもそも黄体は卵胞が排卵後に変化したもので、役割が終わるとまた白体になります。
生理周期が逆に考えていくと…
黄体ホルモンの値が低い→黄体の質が悪い→低温期での卵胞の状態が悪い
となり、実は排卵後の問題であるにもかかわらず、根本的な改善には低温期から始まると考えます。
そのため、 卵巣機能の改善を中心に血流の改善、ストレスの緩和などを行います。
そうすることで卵の質が上がる→排卵後の黄体の質も上がる→高温期も安定する
と、考えます。
まとめ
黄体ホルモンの値が低い→黄体ホルモンを補充しよう
これは、非常にシンプルで理にかなっています。
しかし、「なぜ低いのか?」に焦点を当てる漢方的なアプローチもとても大切です。
少ないホルモンをホルモン剤で補いつつも、体質を改善していく。
これが西洋医学と漢方が手を組む中西医結合、少しでも妊活にお役立ていただけたら幸いです。