若い人も要注意 ストレスが妊活に与える悪影響と漢方
こんにちは、宇都宮市の漢方相談・天明堂薬局の中山です。
不妊治療や妊活。確かに当店でも30代中盤~40代後半のお客様が多くなっております。
しかし、中には20代後半で、血液検査などでは全く問題がないにもかかわらず、なかなか妊娠に至らない、というご相談をされる方もいます。
今回は、ストレスが妊活に与える悪影響について漢方薬も交えて書いてみたいと思います。
漢方から見る「ストレス」と「不妊」
現代社会に生きる私たちにとって、ストレスは切っても切り離せない存在です。
仕事や人間関係、将来への不安、さらには情報過多による心の疲労まで、ストレスの要因は多岐にわたります。
特に女性にとっては、心身のバランスが乱れることで月経やホルモン分泌に影響を及ぼし、不妊の一因となることが少なくありません。
漢方の世界では、こうした「ストレスによる不妊」を古くから重要視してきました。
漢方の視点:気の滞りが妊娠を妨げる
漢方では、人の体を「気・血・水」の三要素で捉えます。
その中でも「気」は生命活動を支える根本的なエネルギーであり、心身の調和を保つ役割を担っています。ところが、ストレスが過度にかかると「気」が滞り、いわゆる「気滞(きたい)」の状態になります。気滞は血流の停滞を招き、子宮や卵巣への栄養供給が不十分となり、結果として妊娠しにくい体質へと傾いてしまうのです。
また、ストレスは自律神経の乱れを引き起こし、ホルモンバランスを崩す要因にもなります。漢方的に言えば「肝(かん)」の働きが過剰になり、気の流れを妨げる状態です。
肝は「気の流れを調整する臓」とされ、ストレスの影響を最も受けやすい部分です。
肝が緊張すると、月経不順や排卵障害につながりやすくなります。
若い世代にも必要な「ストレス緩和」
不妊というと、一般的には30代後半以降の課題と考えられがちですが、実際には20代の若い世代でもストレスによる不調が妊娠力を低下させるケースがあります。職場でのプレッシャー、人間関係の悩みなど、若い人ほど環境の変化にさらされやすく、心身のバランスを崩しやすいのです。
漢方は「未病を治す」ことを重視します。つまり、病気として明確に現れる前の段階で体質を整え、健康を維持することを目的としています。若い世代がストレスを緩和するために漢方を取り入れることは、不妊予防だけでなく、心身の健やかさを保つ上でも大いに意味があるのです。
代表的な漢方薬
逍遥顆粒
中国語において「逍遥」とは「気ままに散歩する」という意味があります。
現代でいう「気分転換・ストレス発散」にも近しい言葉です。
ストレスを抱えやすい人には日頃から服用できる漢方として重宝されます。
似た漢方薬に有名な加味逍遙散がありますが、加味逍遙散は牡丹皮や山梔子が入っているため、体を冷やす性質があります。冷えが気になる場合は逍遥顆粒の方が安心して服用できるでしょう。
まとめ
「まだ若いから大丈夫」と思っていても、ストレスは年齢に関係なく心身を蝕みます。
特に妊娠を望む人にとっては、早い段階からストレスケアを意識することが大切です。
漢方は自然の力で体を整え、無理なく続けられる方法として若い世代にも適しています。
将来のために、今から心身をいたわる習慣を持つことが、健やかな人生につながるのです。
漢方において、ストレスは不妊の大きな原因と考えられています。気の滞りやホルモンバランスの乱れを整えることで、妊娠しやすい体質へ導くことが可能です。そしてこれは、年齢を問わず若い世代にも当てはまります。ストレスを緩和する漢方を取り入れることは、不妊予防だけでなく、日々の生活を健やかに過ごすための大切な一歩となるでしょう。
