春の心のトラブルは原因によって解決策も変わります

こんにちわ、天明堂薬局の中山です

 

春らしい毎日が続きますね。

春の陽気に誘われて、新しい何かを始めたくなるようなワクワクした気持ちになる人も多いのではないでしょうか?

 

しかし春先になると『心のトラブル』が多くなるのも事実です。

イライラや鬱々、不眠などのご相談が2月の後半あたりから急激に増えてきます。

特に女性は生理前のPMS(生理前緊張症候群)も相まって、自分の心をコントロールするのがとても難しくなるようです。

なぜ春先になると『心のトラブル』が増えてくるのか?

どうすればストレスを軽減できるのか?

考えていきましょう。

 

 

春は気の巡りが悪くなる季節

古来より春は心のトラブルが多いことが知られています。

『春先は変な人が出る』『木の芽が芽吹くときは心が不安定になる』という言葉を一度は聞いたことがあると思います。

このように春に心のトラブルが起きる理由は春の季節的特徴が考えられます。

春は冬から夏へと季節の移ろう時期であり、寒暖差が大きく、また『3日続く晴れはなし』という言葉もあるように気候も変わりやすいのが特徴です。

このように気候が不安定な状態が続くと交感神経が優位になりやすく心と体が緊張状態になりがちです。西洋医学的に見ても交感神経が優位な状態が続くと疲労感や寝つきが悪くなる、冷え症状、免疫力の低下、胃腸の動きが悪くなる、などの症状が起こりやすくなります。

 

漢方的に見ると春先に起きるメンタルトラブルは五臓の中の『肝』がとても重要なカギを握っています。

『肝』は西洋医学同様に血液を蓄えたり、体内の血液量を調節する役割もありますが、それ以外にも中医学的には精神情緒の安定にも関与しています。

これを『肝は疏泄(そせつ)を主(つかさど)る』と呼びます。

肝が良い働きをする条件はストレスのないのびのびとした状態であることです。逆に気象条件が不安定であったり人間関係が変わったり、環境が変わると肝の疏泄機能が失調して、肝気の巡りが停滞します。

これを肝気鬱結(かんきうっけつ)とよび、春先に起こる多くのメンタルトラブルの原因となっています。

肝の乱れによるメンタルトラブルが起きている人の特徴は興奮や怒り、イライラ、落ち着かない、キレるです。

 

エネルギー不足から起こるメンタルトラブルも…

 

また春のメンタルトラブルは肝だけが問題というわけでもありません。脾と呼ばれる胃腸機能に近い臓が低下することで気血を生成する力が衰えると気血不足という状態が起こります。気血不足の状態が長引くと、心血虚という状態になります。心には『神明を主る』という働きがあり、心もまた精神活動や意識活動に大きな影響があります。脾の機能低下から気血不足が起こり心の働きも低下した状態を心脾両虚と呼びます。心脾両虚は心脾の気血不足が原因で起こるため、元気が湧かない、倦怠感、悲しいなどの感情を誘発します。

 

 

このように春に起こりやすいメンタルトラブルの原因はストレスや環境・気候の変化が引き金で起きる肝気鬱結のトラブルと疲労や虚弱体質からくる心脾両虚(脾の弱りからくる心の働きの低下)が基本と考えられます。

春のメンタルトラブルポイント

肝気鬱結→怒り、イライラ、短気などの気分が上がる症状を起こしやすい

心脾両虚→悲しい、不安、倦怠感などの気分が下がる症状を起こしやすい

 

 

肝気鬱結に起こりえるその他の特徴

肝気鬱結の状態になっている人は以下のような症状がみられます。

・抑うつ感 ・怒りっぽい ・ため息 ・胸や脇、乳房が張る ・お腹の張り

・生理痛 ・喉のあたりの違和感 ・首肩のコリ

 

肝気鬱結がさらに悪化していくと肝火上炎(かんかじょうえん)となり以下のような症状がみられます。

・ソワソワする ・頭痛 ・眩暈 ・顔面紅潮 ・目の充血 ・口が苦い ・悪夢 ・不眠

・落ち着きがない

 

肝気鬱結にお勧めの生活養生と漢方薬

肝気鬱結の人は肝の疏泄機能を改善し、気の巡りを良くして、鬱滞した気持ちを晴れやかにすることが大切です。

肝がストレスに弱い臓であることからも、運動や楽しい会話、入浴、散歩など心と体を動かす時間や趣味を持つことが一番の改善策です。

しかし、そのような機会がなかなか持てない場合は漢方薬による改善を試してみましょう。

肝気鬱結に使用される代表的な漢方薬は加味逍遥散です。とてもポピュラーな漢方薬なので服用経験がある方も多いのではないでしょうか?

加味逍遙散は柴胡や薄荷が肝の疏泄を改善し、鬱々とした心をほぐしてくれます。また山梔子には清熱作用があるので怒りやイライラの感情が高まる人にも使いやすいです。

 

もし肝気鬱結がさらに悪化し肝火上炎になっている場合はより肝経湿熱を清熱する力が欲しいため竜胆瀉肝湯の服用も検討します。

加味逍遙散や竜胆瀉肝湯などは肝のトラブルに利用される漢方薬の中の一つにすぎません。実際にはその他の体質なども複合的に考える必要が多いため、漢方薬を服用する際は自分の体質をしっかりと見極める必要があります。そのため、専門家と相談の上、判断するのが良いでしょう。

 

 

心脾(気血)両虚に起こりえるその他の症状

心脾(気血)両虚の状態になっている人は以下のような症状がみられます。

・不眠 ・物忘れ ・軽い動機 ・夢を見る ・食欲減退 ・便が緩い ・疲労倦怠感

・顔色がくすんでいる

 

心脾両虚にお勧めの生活養生と漢方薬

 

心脾顆粒の人の多くは胃腸が弱く気血を生成しにくいことが原因であるため、胃腸にやさしい食事を心がけることが大切です。

脂っこい食事や冷たい飲食、生もの、生野菜などは極力控えることが大切です。

しかし、現代社会において食事すべてを理想的なものにするのは難しいものです。そのような場合に漢方薬の服用を検討してみましょう。

 

心脾両虚というと真っ先に浮かぶ処方は帰脾湯ですが、人参の代わりに党参を使用している心脾顆粒もおススメです。心脾顆粒は脾の働きを良くする生薬をベースに補血作用のある生薬、安神作用のある生薬、気の流れを良くする生薬などから構成されているため、胃腸が弱く疲れやすい女性の方であれば気軽に服用できます。

長く服用することで女性の貧血予防にも利用されます。

補血作用をより高めるのであれば婦宝当帰膠も魅力的な処方です。婦宝当帰膠のほうが体を温める力も強いため、冷え性や冬場の服用は婦宝当帰膠のほうが理想的でしょう。

 

もう少し穏やかな処方を考えると甘麦大棗湯などもおススメです。小麦・甘草・大棗と3種類の生薬からなるシンプルな処方構成で、特に小麦は心病治療の主薬であり、気血の不足からくる不安感に効果があります。

もともと心と体の力が弱い人がドーンとショックな出来事に直面した時にお勧めです。

甘麦大棗湯は場合によっては心脾顆粒や婦宝当帰膠などのサポートとして併用するのも良いでしょう。

 

 

まとめ

 

春は季節的にも心のトラブルが多いものです。これは季節の影響が大きいためある程度は致し方ない部分もあります。

イライラしている人を見ても『春だから仕方ないね』と理解してあげることで感情的なぶつかり合いは少なくなるかもしれません。春はお互いのストレスを理解することが心の養生として大切なのです。

しかし、心のトラブルが仕事や人間関係などに悪影響が出てしまうのは避けたいところです。自分がイライラしていては相手のストレスを理解する余裕も生まれません。

運動、入浴、十分な睡眠、消化の良い食事を守りながらも漢方薬を上手に使って心身ともに穏やかな生活を送ることが出来ます。

ぜひ、楽しい春を過ごすためにも漢方薬をお試しください。

中山 貴央

中山 貴央先生

  • 薬剤師
  • 国際中医専門員
  • 薬膳コーディネーター

子宝相談、婦人科相談、美容相談を専門としています。
唯一無二の自分の心と体、そして人生だからこそ根本から改善できる漢方を試していただきたいと思っています。