黄体化未破裂卵胞(LUF)と漢方

黄体化未破裂卵胞とは

卵胞は月経開始とともに発育を開始し、おおよそ18~22mm程度まで育つとLHサージにより卵胞が破裂して排卵に至ります。
黄体化未破裂卵胞とは字のごとく、『黄体は分泌されているものの、卵胞が破裂せず排卵していない状態』ということです。
黄体化未破裂卵胞の原因はまだはっきりとは分かりませんが、

  • 卵巣周囲の癒着
  • ホルモンバランスの乱れ
  • クラミジア感染症
  • 卵胞壁が厚い
  • 鎮痛剤によるタンパク分解酵素の阻害

などが挙げられています。

LUFの厄介な点は排卵がしていないにもかかわらず基礎体温が上昇するため、『排卵した』と思い込んでしまう点です。
血液検査や卵管検査などに問題がなく、LUFに気が付かないと『排卵しているはずなのになぜか妊娠できない状態』が続いてしまいます。
LUFは全月経周期の5~10%程度に起こるとされています。これは月に1度の月経周期であれば、年に1回は起こる可能性と言えます。

黄体化未破裂卵胞と漢方

漢方や中医学において黄体化未破裂卵胞は瘀血と痰湿、そして腎虚の可能性を考えます。

瘀血

血流が悪化していると卵胞に十分な気血が行きにくくなります。その結果、卵の質が低下し排卵に問題が生じるとされています。
瘀血がある人は、生理時に血の塊が出る、目の下にクマができやすい、舌や唇が紫色っぽい、生理痛が強い、強めの頭痛がある、などの特徴があります。
この場合は血流を良くする活血薬を中心に考えていきます。

痰湿

体の中の余分な水や老廃物を指します。
痰湿が卵に溜まると卵胞膜が固くなり黄体化未破裂卵胞を起こすと考えます。
痰湿がある人は、体が重く感じる、食欲の低下、胸のつかえ、舌の苔がベットリと生えている、などの特徴があります。
この場合は水分代謝を改善し、痰湿を取り除く化痰薬や利水薬を中心に考えます。

腎虚

腎虚とは、生殖能力の低下に近い考えです。漢方や中医学において排卵を促すLHサージの低下は腎虚が関係していると考えています。腎は加齢と共に衰える傾向があるため、35歳以上の妊活には腎を補う補腎薬をベースに考えると良いでしょう。
腎虚は厳密には腎陽虚や腎陰虚に分けられますが、共通しているのは足腰の怠さです。
この場合は腎を補う補腎薬を中心に体質に合わせて服用すると良いでしょう。

まとめ

LUFは誰にでも起こりえる問題です。
しかし原因がまだ分からない点も多いため、病院の検査で問題がなくてもなかなか妊娠に至らないこともあります。
漢方的には血流を良くし、水の流れを良くし、生殖機能を高める事が重要と考えます。
ぜひ一度カウンセリングで漢方的体質素因がないかを調べてみてください。

ご相談を心よりお待ちいたしております。

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