周期調節法とはどんな方法でしょうか?

女性の生理を中医学的に考えると『月経期・卵胞期・排卵期・黄体期』の4つの時期に分けることができます。周期調節法とはそれぞれの時期に応じた漢方薬や養生を実践することで妊娠しやすい体づくりをしていく方法です。この方法は中国の国医大師である夏桂成教授が1960年代に構築した理論で、現代の婦人科臨床に広く応用されています。

晩婚化が進む現代では、西洋医学による高度な治療をしているにもかかわらず良い結果につながらないことが多々あります。その大きな原因の一つとして挙げられるのが加齢とともに落ちていく妊娠力になります。女性の場合、20代をピークに30代40代と加齢とともに卵子の質の低下や妊娠する力、妊娠を維持する力が低下していきます。そのため年齢が上がるにつれて着床しにくく、また流産のリスクが高まっていきます。

周期調節法は女性の生理周期の特徴を把握しそれぞれの時期に合った漢方薬を服用することで、卵子の質を上げる事、着床しやすく流産しにくい体質に改善する事を目的としています。

当店では周期調節法を基本に、中医学的カウンセリングにて体質を見極めて漢方薬・養生方法の提案をさせていただいております。

月経期

ポイントは血行促進(活血)ストレス緩和(理気)
月経期(約3~7日間)は妊娠が認められなかった場合に子宮内膜が剥離し、排出される期間です。
この時期は活血理気薬を中心に用いて痛みが少なく、サラサラとした鮮血~暗赤色の生理になる事が重要です。
次回の着床に向けて子宮をきれいにすることが求められます。
この時期は激しい運動は控え十分な睡眠時間を確保することが大切です。また生ものや冷たいものは胃腸を冷やして気血の生成を妨げてしまいます。温かく消化の良い食事を心がけましょう。

卵胞期

ポイントは栄養補給(滋陰補血)血行促進(活血)、そして生殖能力向上(補腎填精)
卵胞期(約7~9日間)は生理による出血が落ち着き排卵を迎えるまでの期間です。
※月経期を含めて卵胞期と呼ぶこともあります。
この期間は子宮内膜にて新しい内膜層が肥厚し、卵巣内で卵胞が成熟していきます。
中医学ではこの期間、滋陰補血薬や補腎薬を中心に服用し子宮や卵巣へ栄養を供給する事で質の良い卵胞の成熟と、子宮内膜の順調な肥厚を目指します。
効率よく栄養を送るために活血薬を補助的に服用することもあります。
この時期は適度な運動で気血の流れを促進すると良いでしょう。翌日になっても疲労が抜けないような激しい運動は気血を消耗させ妊活に悪影響が出る場合があるので気を付けましょう。中医学的にはこの時期に質の良い十分な睡眠をとることも良い卵胞を作る要因と考えられています。十分な睡眠時間を確保できるように1日のスケジュールを組み立てましょう。

排卵期

ポイントは生殖活動向上(補腎)血行促進(活血)ストレス緩和(理気)
排卵期(約1~3日間)は成熟した卵胞から卵子が放出され、黄体が形成されることで卵胞期から黄体期へと移行する期間です。
ホルモンバランスを安定させ速やかな排卵・黄体化を進めるために活血薬や理気薬、補腎薬を服用します。
この時期は過度なストレスは避けるのが良いでしょう。夫婦生活をとるタイミングも多いため、ナーバスになりやすいです。ウォーキングやストレッチ、好きなスポーツやカラオケ、音楽や映画鑑賞などでリラックスするよう心がけてください。食事内容としては三つ葉やセロリ、ミント、菊花茶などが香りのある食材やお茶がお勧めです。

黄体期

ポイントは栄養とエネルギー補給(益気養血)温める力を高め着床しやすく(温陽助孕)
黄体期(約14日間)は子宮においてエストロゲンやプロゲステロンの作用により、子宮内膜が肥厚し受精卵が着床しやすくなる期間です。プロゲステロンの影響により高温期となり月経期・卵胞期を含めた低温期と比べて約0.3~0.5度の体温上昇が起こります。この期間は補腎陽薬や益気養血薬を用いて安定した高温期を維持し、受精卵の着床や発育を促します。また高温期はPMSに悩まされる人も少なくありません。理気薬などを用いてストレスを緩和させることも必要な場合があります。
この期間は妊娠している可能性もあるため、激しい運動は避けましょう。PMSによりイライラや憂鬱感が出やすいため、ウォーキングや音楽、映画鑑賞や楽しい会話を意識し、心身ともに穏やかに生活しましょう。
強い香辛料や激辛料理は避けて消化の良い食事や香りのよい食事をとりましょう。

周期調節法はその周期に応じて漢方薬を使い分けますが、『この周期にはこの漢方薬』と決まっているわけではありません。それぞれの体質に応じて周期ごとに漢方薬を使い分けていくので、使用する漢方薬はまさに十人十色です。
また、状況によってはあえて周期調節法をお勧めしない場合もありますので、詳しくは店頭でのカウンセリングを経てご提案させていただきます。

まとめ

どんなに最先端の治療を受けているとしても女性としての基本が整わなくては健全な妊娠や出産、育児は難しいものです。健康的な妊娠のためにもまずは女性としての基本を整えていきましょう。
ぜひ周期調節法をお試しください。

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