不定愁訴と漢方

【愁訴】とは心身の違和感を口に出すことを意味します。
しかし違和感の原因が病院の検査では明らかにならないケースもあります。
不定愁訴とは一般的にそのような【原因がよく分からない不調】と考えます。
病院で診察を受けても【ストレスかもしれない】【気のせいかもしれない】【様子を見てください】と言われ、具体的な改善策がない事にがっかりする人もいます。

また不定愁訴は【しばらくすれば治る】【症状が軽いから】【症状が説明しにくい】【病気だとは思わない】という理由で、症状を放置している人もいます。
しかし、不調を感じながらの毎日を望む人はいないでしょう。

漢方や中医学は古来より些細な不調から病を見つけることを得意としてきました。
いわゆる【未病】と呼ばれるものです。
【病ではないが、病になりそうな状態】、これは現代の不定愁訴と近しい考え方かもしれません。

西洋医学的に改善が難しい不定愁訴を漢方や中医学的なアプローチで改善できるケースは多々あります。

その一例として以下のようなものが挙げられます。

頭痛

西洋医学において頭痛の原因には偏頭痛、緊張型頭痛、群発頭痛などが挙げられます。
しかし、実際にはそのどれにも当てはまらないような頭痛もあります。
漢方や中医学において頭痛には様々な原因が考えられます。
気滞頭痛は緊張型頭痛や片頭痛に近い考えとも言えますが、その他にも様々な原因があります。
特に気虚頭痛や血虚頭痛、痰湿頭痛、腎虚頭痛などは病院の検査では問題なしとされやすい頭痛です。
これらの頭痛は検査を受けたにも関わらず原因が不明で、とりあえず鎮痛剤を処方されるケースが多いです。

口内炎

西洋医学において口内炎は噛んでしまう事による傷やビタミン不足、ストレスなどが原因として挙げられます。
漢方や中医学では心火上炎や脾胃湿熱、陰虚火旺なども原因と考えています。
心火上炎は西洋医学におけるストレス性口内炎に類似している部分もあります。
しかし、脾胃湿熱や陰虚火旺は西洋医学的な原因とは違った視点であり、ビタミン剤を服用しても改善しないことがあります。
これらの原因は体質を考慮したうえでの漢方薬の他に、食生活や生活リズムを改善する必要があります。

便秘

西洋医学において便秘の原因は食事量が少ない、繊維質が少ない、運動不足による排便時の筋力低下、黄体ホルモンによる大腸の蠕動運動の抑制、精神的ストレスなどが挙げられます。
漢方や中医学では気滞便秘、気虚便秘、熱結便秘や陽虚便秘、血虚便秘、陰虚便秘など原因は様々あります。
気滞便秘や気虚便秘は西洋医学的なストレスや筋力不足と近しい考えと言えます。
しかし、熱結便秘や陽虚便秘、血虚便秘などは漢方や中医学ならではの視点であり、適した漢方薬と食養生を行う必要があります。

その他にも下痢、浮腫み、生理痛、皮膚病、肥満、息苦しさ、疲労、不妊、産後不調などにおいて西洋医学的な検査や判断では答えが出にくいものがあり、そういった不調に漢方や中医学的な視点での改善が役立つことがあります。

まとめ

不定愁訴は【病気】と判断されないため、そのままにしていたり、我慢している人も多いものです。
しかし、不調は間違いなく何かしらの体からのサインです。
その不調を見落とし続けることで、大きな病につながる事もあります。
唯一無二の自分の体と心、たった一回きりの人生です。
少しでも原因が分からない不調を感じたら、漢方的なアプローチをお試しください。

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