「不通則痛」から読み解く生理痛──漢方の視点とおすすめ処方
こんにちは、宇都宮市の漢方相談・天明堂薬局の中山です。
当店の相談の中でも多いのが生理痛。
特に鎮痛剤が手放せないような強い生理痛に対して、何か漢方で対策はできないか?と相談される方が多いです。
特に冷えが強くなるこれからの時期は、生理痛を鎮痛剤でやり過ごすことは決して良い事とは言えません。
今回は強い生理痛に対する漢方のアプローチをご紹介しましょう。
漢方では、生理痛の原因を「不通則痛(ふつうそくつう)」という考え方で説明することがあります。
「不通則痛」とは、気血の流れが滞ることで痛みが生じるという理論です。つまり、体内の“めぐり”が悪くなると、痛みというサインが現れるのです。特に女性の身体は、月経周期に合わせてホルモンや血流が大きく変化するため、気血の停滞が起こりやすく、それが生理痛の原因になると考えられています。
では、なぜ気血の流れが滞ってしまうのでしょうか?その背景には、冷え、ストレス、運動不足、食生活の乱れなど、現代人のライフスタイルが深く関係しています。冷たい飲食物の摂りすぎや、長時間の座りっぱなし、感情の抑圧などが積み重なることで、血の巡りが悪くなり、瘀血(おけつ)と呼ばれる“古い血”が体内に停滞してしまうのです。
このような「不通則痛」タイプの生理痛には、漢方の力が優しく寄り添ってくれます。特におすすめなのが、「冠元顆粒(かんげんかりゅう)」と「桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)」という処方です。
冠元顆粒は、血流を促進し、瘀血を取り除くことに特化した処方です。丹参(たんじん)、紅花(こうか)、川芎(せんきゅう)など、血の巡りを良くする生薬がバランスよく配合されており、冷えや肩こり、頭痛などを伴うタイプの生理痛に適しています。特に、ストレスや加齢によって血流が滞りがちな方に向いています。
一方、桂枝茯苓丸は、体質改善を目指す穏やかな処方で、月経不順や更年期の不調にも広く用いられています。桂皮(けいひ)や茯苓(ぶくりょう)など、気血の巡りを整えながら、余分な水分や冷えを取り除く働きがあります。比較的体力があり、のぼせやイライラを感じやすい方におすすめです。
どちらの処方も、「不通則痛」という根本原因にアプローチすることで、痛みを和らげるだけでなく、体質そのものを整えていくことが期待できます。もちろん、漢方は一人ひとりの体質や症状に合わせて選ぶことが大切ですので、服用の際はぜひご相談ください。
生理痛は、身体からの大切なメッセージ。痛みを抑えるだけでなく、その背景にある“めぐりの滞り”に目を向けることで、より健やかな毎日へとつながっていきます。漢方の知恵を味方に、心と身体のバランスを整えてみませんか?
