ダイエットと不眠と漢方

睡眠時間と摂取カロリーの関係性についてはヴァン・コーターのブッフェ実験が有名です。
この実験は被験者にまず8時間半睡眠を4日間続けてもらい、その後、4時間半睡眠を4日間続けてもらいます。
期間中はブッフェで好きなものを好きなだけ食べてもらいその合計カロリーを計算するというものです。
その結果、4時間半睡眠を続けた時の1日の平均摂取カロリーが8時間半睡眠を続けた時と比べて300キロカロリー増えたのです。
この結果を見ると「自分は5~6時間寝ているから大丈夫だろう」と思う人もいるかもしれませんが、残念ながら5~6時間睡眠を10日間続けた場合も同程度の結果になっています。

これは睡眠不足により満腹中枢を司るホルモンであるレプチンの分泌が減少し、食欲を刺激するホルモンであるグレリンが増加するからです。
レプチンが減少しグレリンが増加するということは、同程度の食事量をとっても「なんだか物足りない」という気持ちになってしまい、「デザートは別腹」状態になってしまうのです。
さらに面白いのは睡眠不足を起こしている人は甘いもの、しょっぱい物、炭水化物の摂取も増える傾向があります。
「今日は無性にジャンクフードが食べたい!」と思ったら睡眠不足のサインと考えても良さそうです。

ダイエットのために睡眠の質を高めよう

ダイエットと言えば運動をすることが一番ですが、実は運動によるカロリー消費はなかなか難しいものです。
例えば、ランニングを1時間したところで消費できるカロリーはせいぜい700キロカロリーです。週に2回1時間のランニングをしたとして1週間で1,400キロカロリーの消費を期待できますが、1,400キロカロリーを7日間で割ると1日当たり200キロカロリーとなります。つまり、1日当たり200キロカロリー多く摂取すれば、週に2回の1時間ランニングも±0ということです。
200キロカロリーといえば、食パン1枚、うどん1玉ほど。ついつい簡単に食べてしまう量であることが分かります。
そういう意味でもダイエットは「いかに消費するか」よりも「いかに無駄な摂取を控えるか」の方がより重要なのです。
ダイエットの相談のお客様からよく言われるのが「食べることを我慢できない」「ご褒美に甘いものが欲しくなる」「クリーンな食事だと食べた気にならない」「食べることがストレス発散方法になっている」などです。
先ほどのヴァン・コーターのブッフェ実験でもわかるように、睡眠不足を起こしている人は食べたい欲求が高くなってしまいます。効率の良いダイエットのためにも質の良い十分な睡眠をとりましょう。

過食が不眠を起こし、不眠が過食を起こす負のループ

漢方における不眠の原因の一つに痰熱内擾というものがあります。
これは油っこいものやしつこい味のもの、アルコールなどを摂取することで消化器系の働きが悪くなり、水分代謝が低下し、その状態が長引くと痰熱を作り出し不眠を引き起こす、というものです。

痰熱内擾を起こしている人はその他の症状として

  • 気持ちが落ち着かない
  • めまい
  • 頭が重い

などが挙げられます。

痰熱内擾による睡眠の質の低下→睡眠の質の低下による暴飲暴食→さらなる痰熱内擾→暴飲暴食という、メタボ一直線のループを作り出します。
このような状況が起きている場合は体の中の痰熱を排出し、精神を安定させ、質の良い睡眠を得る漢方薬を服用します。
具体的な漢方薬は体質などに応じて考慮する必要があるため、服用の際は必ずご相談ください。

まとめ

「痩せるために睡眠時間を削って運動している」そんな人もいるかもしれません。
しかし、その睡眠不足から暴食をしてはダイエットが成功することはありません。
痩せるために寝る、という意識を大切にしてください。

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