頭痛は漢方薬の得意分野です

こんにちわ、天明堂薬局の中山です。

春が深まるこの時期に増えてくるご相談が『頭痛』です。

中には鎮痛剤を飲んでも改善しないケースもあり多くの方が悩んでいます。

日常生活や仕事に支障をきたすケースもあり、漢方薬による根本的な治療を望まれる方もいます。

今回は頭痛に対する漢方的アプローチのご紹介です。

 

【頭痛の原因】

 

中医学において頭痛を起こす原因は様々あり、原因を正しく判断することが改善への第一歩となります。

まずは中医学における頭痛が起こりえる原因を見ていきましょう。

 

外感頭痛(がいかんずつう)

外感頭痛とは気候などの影響から発生する頭痛になります。主な外感頭痛の原因には風寒頭痛・風熱頭痛・風湿頭痛があります。共通しているのは『風』です。風の邪気である風邪は他の邪気を引き連れて体内に侵入してくるという性質があるため、風邪がその他のどの邪気と組み合わさるかで特徴が変わります。

外感頭痛は気候や季節による影響が大きいため、普段は頭痛を感じない人も多く、また頭痛も長引かないためあまり重要視されない場合も多いですが、予防養生の観点からそれぞれの特徴を把握しておくと良いでしょう。

 

 

<風寒頭痛>

冷たい風などにあたることで起こる頭痛です。

冬場の冷たい風や夏場のクーラーの風などによっておこる傾向があります。

寒邪には気血の流れを悪くする特徴があり、不通即痛(気血の流れが悪い場所は痛みを生む)の原理から痛みを引き起こします。肩こりや冷え性、関節痛などを併発することがあります。

 

<風熱頭痛>

暑い環境に居続けることによっておこる頭痛です。

サウナや猛暑日での屋外活動などをされる方に多く見られる傾向があります。

熱邪は上昇する性質があるので、頭部に熱がこもりやすくなり、頭痛以外にも発熱、のどの痛み、口の渇きなどを起こすことがあります。

 

<風湿頭痛>

湿度の高い環境や梅雨時期などによっておこる頭痛です。

湿邪にも気血の流れを悪くする特徴があり、梅雨時や湿度の高い場所で生活する人に多く見られます

痛み方は鈍く重いのが特徴で、頭重感や『締め付けられるように痛む』、と表現する人も多いです。

 

 

内傷頭痛(ないしょうずつう)

外感頭痛が気候など体の外に原因がある頭痛であるとすれば、内傷頭痛は体調不良など体の内側に原因がある頭痛と考えらえます。慢性的な頭痛に悩まされている場合はほとんど内傷頭痛であり、体調を改善しない限り頭痛が続きます。

一口に内傷頭痛といっても外感頭痛と同様に原因は様々です。

まずは内傷頭痛の種類から見ていきましょう。

 

<肝陽上亢(かんようじょうこう)>

中医学における肝には現代医学でいうところの自律神経系の役割があると考えられています。

肝は気血の流れをコントロールする役割がありますが、運動不足、ストレス、睡眠不足、アルコール、香辛料の取りすぎ、チョコレートなど高脂質高糖質の取りすぎ、長時間の同じ姿勢などが重なると、気血の流れが悪くなり痛みを引き起こします。肝気は上昇の傾向があり、いわば『頭に血が上りやすい』状態になりやすいです。そのため、頭痛以外にもイライラや目の疲れ、怒りっぽくなるなどの症状を併発しやすくなります

 

<脾虚不運(ひきょふうん)>

脾(現代でいう胃腸のような存在)の働きの停滞からも頭痛は起こります。

我々は食べたものを消化し、気(エネルギー)と血(栄養)を生成しています。

脾が弱ることで気血の生成が十分でなくなると頭部に気血が運ばれず痛みが起こります。

気が不足することで起こる気虚頭痛は疲労時などに発症することが特徴的です。

このタイプの方は気血が不足しているため、疲労感や倦怠感、ネガティブ志向が強く、不眠に至ることもあります。

血が不足することで起こる血虚頭痛は生理などの出血時や過度なダイエット中に起こることがあります。

また脾は気血の生成以外にも水分代謝の役割も担っているため、脾が弱ると体内の水の流れが悪くなり湿を生みます。湿は気血の流れを停滞させる特徴があるため重く鈍く長引くような頭痛を起こします。

 

<腎虚(じんきょ)>

五臓の一つである腎の働きが低下することによる頭痛です。

『人の老化は腎の老化』という言葉もあるように、腎は生殖機能や脳、骨、二便、毛髪、潤いなどに関連しています。腎虚による頭痛はあまり強く痛まないため我慢してしまう人も多いようです。

老年期になり弱い痛みが続くようでしたら、腎虚による頭痛を疑ってもよいでしょう。

 

<瘀血(おけつ)>

瘀血とは血行不良に近く頭痛の原因として最も多い印象があります。瘀血は外感頭痛や内傷頭痛のどちらからも発症しやすく、運動習慣がない・入浴習慣がない・ストレス過多・睡眠時間が短いなどの生活をしている人にとても多くみられます。

瘀血の人は顔色や唇の色が暗かったり、生理の時に塊が出やすいのが特徴です。

痛む場所は固定的でこめかみや側頭部、後頭部などに痛みを感じることが多いです。

 

 

 

 

 

 

 

【それぞれの頭痛に対する生活養生と漢方薬】

外感頭痛

<風寒頭痛>

寒い季節や寒い場所にいることで痛みが出るため、温かい洋服を選んだり帽子をかぶるなどの対策をしましょう

寒気のする風邪をひいたときに併発することが多いため、川芎茶調散、葛根湯、麻黄湯、桂枝湯などを服用しても良いでしょう。

特に川芎茶調散は止痛作用に優れた生薬が多く、冷えからくる頭痛が強い場合は優先的に使っても良いでしょう。

 

<風熱頭痛>

高熱の風邪をひいたときや猛暑の環境下で痛みが出ることが多いため、横になりクールダウンしながら痛みをとることが大切です。

唐辛子や豆板醤、ラー油や七味唐辛子など体に過剰な熱を発生させる食事は厳禁です

状況にもよりますがキュウリやトマト、ゴーヤー、緑茶、枝豆など体の過剰な熱を放出する食事を無理のない範囲で食べると良いでしょう。

代表的な漢方薬は天津感冒片や白虎湯があります。

痛みが強い場合は川芎茶調散に菊花など清熱薬を配合して服用しましょう。

 

<風湿頭痛>

湿気が影響している頭痛であるため、梅雨時に悩まされる人が多いです。天候を変えることはできないので、汗をかくような運動、入浴、冷たいものを控える、水分を一度に大量に飲むのを控えるなどして、体内の水分代謝を高めることが予防になります。

代表的な漢方薬には勝湿顆粒があります。字のごとく『湿気に勝つ』を目的とした処方構成で、浮腫みや下痢、嘔吐や胃の不快感などにも利用できる使い勝手の良い処方です。いわゆる『胃腸風邪』に使われることが多い処方なので、6月~9月あたりまで利用される方が多いです。

 

 

内傷頭痛

<肝陽上亢>

気分転換やストレスを発散する時間を持つことが大切です。

長時間のデスクワークが続くようでしたら、少し休憩時間をとり散歩などをするとよいでしょう。

自宅で座りっぱなしでずーっとテレビを観ているのも良くありません。ジムやスポーツクラブに入会するのもいいですね。

代表的な漢方薬には竜胆瀉肝湯があります。この処方は肝の熱を瀉する(取り除く)代表的な処方で、ストレスなどからくる激しい頭痛や目の充血に用います。

その他にも加味逍遥散なども清熱しながら肝の働きを良くするので使い勝手が良い処方です。

血圧が高めの場合は釣藤散を優先的に使用する場合もあります。

 

<脾虚不運>

脾の働きが低下し気血の生成が不十分になっていることから、脾の働きを改善することがポイントです。

脾は過剰な水分や冷やされることを嫌がるので、ビールや炭酸水などをゴクゴクと流し込むのは避けましょう。

脾の働きを良くするためにも温かく、火の通った、消化の良い食事を心がけましょう。

過度なカロリー制限なども気血の生成が不十分になるため、疲労感やめまいなどが伴う頭痛がある場合は、止めましょう。

 

代表的な漢方薬は様々あります。脾虚が原因で気虚になっている場合は、特に有名なものとして補中益気湯が挙げられます。補中益気湯はお腹の調子を良くすると同時に升麻や柴胡による昇気作用(頭に気を持ち上げる)も期待されるので、疲労感から頭がボーッとしてしまうような頭痛には良いでしょう。しかし、血圧が高めの方は補中益気湯の利用は慎重にするべきです。

 

女性に多い血虚による頭痛には婦宝当帰膠がお勧めです。生理痛や妊活、冷え性など多くの女性が悩む症状の改善に使われる処方です。甘いシロップ状の漢方薬で飲み口もおいしくとても人気があります。婦宝当帰膠のみでは改善しない場合、川芎茶調散などを併用するとより効果的です。

 

脾虚から水分代謝が低下し体内に過剰な湿が停滞している場合は半夏白朮天麻湯や温胆湯などが良いでしょう。

ともに痛みを止める作用はないので、痛みが強い場合は川芎茶調散を併用するのがお勧めです。

体の中の湿が除去されたら食養生や生活養生に重きを置き、長期の服用は避けるべきです。

 

<腎虚>

腎虚は加齢からくることが多いため、多くの方が直面する問題です。

腎に良い食材として、羊肉、エビ、ウナギ、ナマコ、クルミ、ニラ、アワビ、クラゲ、イカ、豆、ゴマ、カキ、シジミ、アサリ、海藻類、のりなどが挙げられるので日ごろの食事から意識すると良いでしょう。

しかし、腎の老化予防は食事だけでは難しいところもあり、補腎薬と呼ばれる処方を服用することをお勧めします。

補腎薬には体質に応じた様々な種類があり、誤った処方を服用するとかえって体調を悪くする場合もあります。服用する際はぜひご相談ください。

 

<瘀血>

瘀血は現代でいうところの血行不良に近いものです。

血行不良は様々な原因で起こりえます。運動をする、入浴をする、禁煙、アルコールを控える、十分な睡眠時間をとる、疲労をためない、冷たいものをとらないなどは日ごろから心がけたいところです。

しかし、現実には瘀血体質の人は多く、来店される方の頭痛の多くの原因が瘀血によるものです。漢方薬は瘀血の改善がとても得意なので、日ごろから血行不良に悩まれている場合は漢方薬の服用をお勧めします。

代表的な漢方薬に冠元顆粒があります。全身の瘀血を改善するので頭痛以外にも生理痛や関節痛など利用範囲が広く、また長期的な服用もできます。

また血の流れは気の流れに比例するため、冠元顆粒のみでは痛みが十分にひかない場合や、ストレス過多の生活をしている場合は加味逍遥散や、加味逍遥散から牡丹皮と山梔子を取り除いた逍遥散などを併用すると良いでしょう。

 

【まとめ】

以上のように頭痛は原因も様々でそれゆえに改善方法も多岐にわたります。実際には原因が複合していることもあり慎重に養生方法や漢方薬は選ばなくてはなりません。

唯一無二の自分の体、そして人生だからこそ痛みに悩まない対処を考えていきましょう。

 

 

中山 貴央

中山 貴央先生

  • 薬剤師
  • 国際中医専門員
  • 薬膳コーディネーター

子宝相談、婦人科相談、美容相談を専門としています。
唯一無二の自分の心と体、そして人生だからこそ根本から改善できる漢方を試していただきたいと思っています。