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男性と漢方

男性更年期障害と漢方

女性の更年期障害は広く知られていますが、少し前から男性の更年期障害も注目されるようになりました。加齢が進むにつれて『精の低下』が起こります。
精は生命力の泉のような存在で、精が充実している人は生命力に溢れ、生き生きとして、活動的で意欲的です。
更年期による精の低下は生命力の低下、活力の低下、意欲の低下を招くため仕事やプライベートにも悪影響を及ぼします。

男性更年期障害の漢方的原因

腎精虚損

腎精虚損とは字のごとく『精力の低下』を意味します。
精には生まれた時に両親から与えられる『先天の精』と、この世に誕生してから飲食などから得る『後天の精』があり、この二つの精の合算が現在の『精力』となります。
男性はおおよそ32歳から精の衰えを感じると言われます。そして男性更年期の症状として感じ始めるのが40歳くらいとされています。
加齢からくる精の衰えは誰にでも起こるため、腎精虚損は男性更年期障害の最も多い原因と言えるでしょう。

腎精虚損に特徴的なその他の症状

・腰痛 ・腰に力が入らない ・物忘れが目立つ ・ふらつきがある ・精力が減退している ・勃起が弱くなる ・抜け毛が目立つ ・白髪がある ・意欲が無くなる ・楽しくない ・集中力の低下

脾気不足

脾とは今でいう消化器系に近い考えです。
私たちは食べたものから気血水を生成し、日々の活動を支えています。
脾気不足とは胃腸機能の低下により飲食から気血水を生成する力が衰え、疲労感や無気力などの症状を起こすことです。
日本は冷たい飲み物や生ものを好む人が多く、世界的に見ても胃腸が弱いと言われています。
加齢による精の低下に加えて、脾気の不足が起きるとより男性更年期障害の症状が強く出るでしょう。

脾気不足に特徴的なその他の症状

・疲労感が強い ・立ち眩み ・やる気が起きない ・食欲がない ・食べている割に疲れる ・顔色がくすんでいる ・お腹周りが浮腫む ・下痢もしくは軟便 ・四肢の倦怠感

肝気鬱結

肝気鬱結とは簡単に言えばストレス過多によるイライラや鬱症状を言います。
漢方の世界において肝は『情志をコントロールする』役割があり、肝が乱れてしまうと心身をコントロールすることが出来なくなります。
厄介の事に、肝はストレスに弱い特徴があります。
そのため、ストレス過多→肝が弱る→心身をコントロールできない→ストレスを感じやすくなる→肝が弱る→…、と負のスパイラルに陥ることがあります。
精が弱くなり、活力や意欲が低下しつつある男性更年期の中で、社会生活でのストレス・家庭でのストレスなどが重なると心がポキッと折れてしまい、鬱になったり、お酒の量が増えてしまう人も多いです。
また肝気は血流にも関係が深く、血流が悪い人は肝気の巡りも悪くなります。
運動不足や睡眠不足、入浴時間が取れないなど、血流が悪い生活をしている人も要注意です。

肝気鬱結の特徴的なその他の症状

・憂鬱感 ・イライラ ・頭痛 ・目の疲れ ・目の奥の痛み

漢方薬とお勧めの食養生

腎精虚損

腎精虚損を改善するには腎の働きを良くし精を増やす処方を選びます。
六味地黄丸を中心構成とした補腎薬を体質に応じて選ぶのが良いでしょう。
補腎薬は様々な種類があります。これは腎精虚損と一口に言っても体質は様々であり、それに応じた処方を選ぶ必要があるからです。
『補腎薬ならおおよそ大丈夫だろう』と安易に選んでしまうと思わぬ副作用が起きる事もあるので必ずカウンセリングの上で服用する処方を選びましょう。

腎精虚損にお勧めの食材

牡蠣 シジミ アサリ 海藻 のり キウイフルーツ アワビ クラゲ イカ 貝柱 ゴマ 黒豆 キャベツ ブロッコリー ゴボウ サツマイモ ブドウ 栗 エビ ひじき トウモロコシ ゴーヤー キュウリ 大根 トマト 羊肉 エビ 鰻 ナマコ クルミ ニラ アワビ クラゲ イカ 貝柱 豆 ゴマ 小麦 山芋 クルミ クコの実

脾気不足

脾気不足を改善するには脾とそして表裏の関係にある胃の働きを改善する処方を選びます。
もっとも有名な処方に補中益気湯があります。『中』とは主にお腹を意味し、補中益気湯とは『お腹の働きを良くして気を増やす』という意味があります。特に冷えを伴う脾気不足にお勧めです。
脾気不足から不眠や不安感など心の不調が目立つ場合は帰脾湯を使うこともあります。
また、体質に応じては香砂六君子湯なども使うことがあり、脾気不足の改善もまた体質に応じて処方を精査する必要があります。
腎精虚損と同様に服用する際は必ずカウンセリングの上、処方を決めましょう。

脾気不足にお勧めの食材

山芋、卵、米、ハト麦、生姜、羊肉、ネギ、にら、棗、はちみつ、豆類、大根、サツマイモ、ジャガイモ、ほうれん草

肝気鬱結

肝気鬱結を改善するには肝の働きを良くして気の巡りを改善する処方を選びます。
代表的な処方に逍遥散があります。肝気鬱結を改善する基本処方で、男女を問わずイライラ・鬱々に用いられることがあります。似た処方に加味逍遙散がありますが、これは逍遥散に牡丹皮と山梔子を加えた処方です。逍遥さんに比べると清熱作用があるため、ストレスが特に怒りやイライラに強く出る人にお勧めです。
しかし、気の巡りを改善する基本は運動、リズムの良い生活、入浴、睡眠、楽しい会話です。
生活の改善で気の巡りを良くすることを優先し、それが難しい場合に漢方薬の併用を検討してみましょう。

肝気鬱結にお勧めの食材

・セロリ ・梅干し ・菊花 ・柑橘類(オレンジやグレープフルーツなど) ・あさり ・しじみ ・イカやタコ ・パセリ ・ミント ・レモン ・ブドウ ・黒酢 ・ジャスミン茶 ・ラベンダー茶 ・カモミール茶 ・春菊 ・クコの実

まとめ

更年期は男女を問わず必ず訪れるものです。
特に男性は『精の低下』による症状が顕著であり、どことなく『男性らしさ』が無くなっていく寂しさがあります。
『昔はもっと元気だったのに…』
『活力や意欲が低下してしまった…』
『必要以上にイライラや鬱を感じる…』
『鏡の前の自分の顔に覇気がない…』

そんな時は精を補うことを中心に考えてみましょう。
精を補うことで少しでも『元気な更年期』を過ごせると良いですね!

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