10代20代から始める漢方

晩婚化問題や少子化問題に直面している現代日本。
特に女性の初婚年齢はここ20年で3歳も上昇して、2016年では29.4歳となりました。
興味深いのは東京の初婚年齢が30.5歳と高い傾向にある事です。
憶測にはなりますが、不景気の影響、女性の社会進出、結婚に対する考え方の変化、などがあげられるかもしれません。
晩婚化の流れは止められないかもしれませんが、妊娠の事を考えると日本の晩婚化傾向は決して良い事とは言えません。

中医学では古来より女性は7の倍数で変化する、といわれていて、生殖能力としてのピークは21~28歳と考えられております。
つまり中医学的に考えると日本の女性は初婚の時からすでに生殖能力の衰えがスタートしている、と言えます。
29.4歳で結婚しても妊活に入るのはもう少し後という夫婦も多いですから、妊活を始める平均年齢はすでに30歳を超えているとも想像できます。
しかし残念ながら、社会や結婚を取り巻く状況が昔と変わってきても、女性の体が変わる事はありません。
ましてや過労やダイエット、不眠などにより心身を酷使する生活は決して妊活にとって良いとは言えません。
そこで将来の妊活のためにも若いうちから体のケアをすることをお勧めしています。
今回は「10代20代から始める漢方」をテーマに書いてみたいと思います。

補血

「補血」とは聞きなれない言葉かもしれませんが、少し砕いて言い換えると「質の良い十分な量の血液を作ろう」ということです。
漢方や中医学における「血」は西洋医学における「血液」とは似た部分もありますが、少し違う部分もあります。
漢方や中国医学における「血」には以下の働きがあります。

  • 体に栄養や潤いを与える働き
  • 体を温める働き
  • 精神活動を安定させる働き

そのため、血が不足したり働きが悪くなると…

体に栄養や潤いが行き渡らない

  • 乾燥肌
  • 肌荒れ
  • 髪がパサつく
  • 肩こり(揉まれて痛むタイプ)
  • めまい
  • 立ちくらみ
  • こむらがえり
  • 爪がもろい
  • 眼精疲労

体が温まらない

  • 冷え症
  • 冷えのぼせ
  • しもやけ
  • 顔色がよくない

精神活動が不安定になる

  • 不安な気持ちになる
  • 寝つきが悪い
  • 眠りが浅い
  • やる気が出ない
  • マイナス思考になる

等の症状が表れやすくなります。 このように血の働きが不十分であったり不足していることを「血虚」と呼びます。

妊活のご相談の人の多くに血虚がみられます。 これは女性が月経の関係上、定期的に出血してしまう事や十分な栄養バランスの食事をとれていない事、喫煙率の上昇、運動不足(筋力の低下)、夜更かし、過労などが考えられます。 なぜ、血虚になると妊活に悪影響なのか。それは以下の理由が考えられます。

妊活における血虚の悪影響

卵の質

中医学では質の良い血が卵巣に流れ込むことにより、質の良い卵が育つ、と考えらえています。つまり血虚の状態では卵巣に十分な栄養を送り込むことができなくなり、質の良い卵が育ちにくくなる、と考えられるわけです。

内膜の肥厚

内膜の形成にも十分な量かつ質の良い血が必要と考えられています。 内膜は主に排卵後に急激に厚くなり、妊娠していない場合、月経時に排出されることを繰り返します。そのため体の中に質の良い十分な血があることは質の良い内膜の形成に重要であると考えます。

妊娠中の栄養供給

胎盤を通じて母体の血液から栄養を吸収することが、赤ちゃんにとっての食事となります。つまり、血の質を良くすることは赤ちゃんへの十分な栄養の供給に役立つと考えます。

このように血虚を改善しておくことは妊娠において非常に重要な準備であると言えます。

血虚を改善する漢方薬とお勧めの食材

婦宝当帰膠血虚を改善する漢方薬を補血薬と呼びます。
多くは四物湯を基本処方として、様々な処方が考案されています。
特に有名なのが、婦宝当帰膠、帰脾湯、参茸補血丸、十全大補湯などです。
それぞれに特徴があるため、服用の際は必ずご相談ください。

お勧めの食材

  • 肉類全般
  • 赤身の魚全般
  • アサリ
  • シジミ
  • 牡蠣
  • ひじき
  • ほうれん草
  • 小松菜
  • 玉葱
  • ニンジン
  • イチゴ
  • ブドウ
  • ライチ
まとめ

漢方は若い人にはあまり馴染みがないかもしれません。
しかし、過去が今を、今が未来を作ることからも、今、心身ともに健康に過ごすことは将来的な健康、ひいては幸せにつながっていきます。
十分な睡眠、運動、休養、そして体質を整える漢方薬で将来に向けた健全な心身を作りましょう。

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