子宮内膜増殖症と漢方
子宮内膜増殖症は子宮内膜が必要以上に増殖して異常に厚くなる症状で、不正性器出血(月経時以外の出血)などを引き起こします。場合によっては子宮体がんの発生原因になる事もあります。
不正出血や出血過多による貧血(めまい、倦怠感など)が主な症状となります。
子宮内膜増殖症は、子宮内膜の増殖作用があるエストロゲン(女性ホルモン)が過剰な状態になることで生じます。エストロゲンを主成分とするホルモン剤を内服している外因性、黄体機能不全や多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)などの内因性が挙げられます。また、肥満や高血圧、糖尿病なども子宮内膜増殖症になるリスクが高いと考えられています。
そのため、西洋医学的な治療の場合、ホルモン剤での治療や貧血治療薬を用いられますが、ホルモン剤の副作用に対し抵抗を感じる人が多いのも事実です。
子宮内膜増殖症と漢方
子宮内膜増殖症は漢方において、崩漏(ほうろう)と呼ばれます。
崩(ほう)は大量に出血することを意味し、漏(ろう)は出血がダラダラと続くことを意味します。
崩漏を漢方的に考えると腎の弱りを基本に考えます。
腎は五臓の中の一つであり、生殖を主ると考えられています。
腎が弱くなると生殖器の働きが不安定になり、ホルモンバランスが乱れ崩漏、つまり不正出血が起こります。
しかし、出血は腎の弱りだけではありません。
腎の弱り以外にも脾不統血(ひふとうけつ)による出血、血熱(けつねつ)による出血、瘀血(おけつ)による出血など様々な原因があります。
脾不統血
脾不統血とは、脾が弱ることで血を統べる(体内に収める)ことができない状態を指します。
脾が弱い状態を脾虚と呼びます。
脾虚に多い症状としては
- 食欲不振
- 腹部張満
- 泥状便
- 無気力
- 疲労感
- 顔色が萎黄
などがあります。
血熱
血熱とは体内に過剰な熱が滞留している状態と考えて良いでしょう。
血熱に多い症状としては
- 発熱
- 口が乾燥する
- 心煩(落ち着きがない)
- 不眠(寝つけない、眠りが浅い)
などがあります。
瘀血
瘀血とは血行不良や血液ドロドロに近い考えです。
長時間のデスクワークや運動不足、睡眠不足など瘀血を誘発する生活環境は多く、現代人の多くは大なり小なり瘀血があるとも言われています。
瘀血に多い症状としては
- 頭痛
- 肩こり
- 末端の冷え
- 唇の色が暗い
- 目の下にクマができる
- 顔色が暗い
- シミ、そばかすができる
- 生理痛が強い
などの特徴があります。
子宮内膜増殖症の60%は自然に治るとも言われていますが、長引く場合は治療の必要性が出てきます。
漢方において、子宮内膜増殖症の原因は体質によって異なり、また複数の要因が重なる場合もあります。
(例 腎の弱り+脾不統血+瘀血 など)
そのため、自分がどの様な体質なのかを見極めて服用する漢方薬を選定する必要があるため、必ずご相談ください。