中国研修記

3月15日~22日までの8日間。北京に中医研修に行ってまいりました。8日間という期間の内容なので少し長い研修記録になりますが、ぜひ目を通していただけると幸いです!

≪初日≫

9時10分羽田発の飛行機に乗ってお昼過ぎに北京に到着!初日は診療所での研修はなく北京の街並みを散策してまいりました。向かった先は前門商店街&同仁堂!
前門商店街とは明や清の時代から栄えている商店街です。2007年から一帯の全面工事が始まって、現在では歩行者天国もある観光地と化しました。街並みは中国レトロな様相で歩いているだけでもワクワクします。昼間は観光客で大変賑わっており食べ歩きができるようなお店もたくさんあります。特に有名な食べ歩きメニューといえば山査子を水あめでコーティングした山査子飴です。甘酸っぱくてとても美味しいですし、山査子は消化を助ける生薬としても有名なので小さなお子さんからお年寄りまで広く愛されています。
写真のサイズのもので10元(約170円)くらいでした。中国に行ったら必ず食べてほしいお菓子です。

同仁堂はとても有名な薬店で、中成薬(漢方薬)から生薬、医療器具や化粧品まで勢ぞろいしています。

ここには薬用の人参も売っているのですが、すべて1つずつガラスケースに入って並べられており、1番値段の高い物はなんと日本円にして約700万円!写真を撮って載せたかったのですが警備員がビタッと張りついていて写真を撮ろうとするとすごい勢いで怒られます(>_<)ゆえに画像は無し!残念!!長さは40cm~50cmくらいだったかな…。
人参以外にも冬虫夏草も目玉が飛び出るくらいの金額だし、本当に買う人いるのかな…と思いたくなりますが、商品として並んでいる以上、購入する人がいるのでしょうね。
私はそんな高価な生薬は購入できなかったので、百合や枸杞子、烏梅などを購入しました。百合は日本では「ゆり」と読みますが、生薬の呼び方は「びゃくごう」です。体に潤いを補う作用があるので、潤いが足らない方にはお勧めの生薬です。炒め物などにも気軽に使えるので、北京ではスーパーなんかでも気軽に買えます。

その後は予約必須の北京ダックの超有名店「前門全聚徳(ぜんもんぜんじゅとく)」へ!
全聚徳は1864年創業ととても歴史が長く今ではチェーン展開しているので王府井などでも食べることは可能です。
日本では北京ダックというと皮だけを食べるイメージですが本場はちゃんと肉も食べます。調理された北京ダックを料理人が部屋の中でさばいてくれます。

ネギなどと一緒に皮に包んで甘辛のたれにつけて食べる北京ダックはそれはもう絶品です!お腹がはちきれんばかりに食べたのは言うまでもありません(^_^.)そして興味深いのはそのダック達はみんな名前?コード?のようなものがあり、食べるときにどの北京ダックなのかが分かるようになっています。
日本でいう生産者や産地がわかるようなシステムがもっとより詳しく表記されているイメージですね。こういうところも名店ならではの特徴かもしれません。中国で本場の絶品北京ダックを食べるなら「前門全聚徳」を要CEACKです。
そんなこんなで露店で食べまくって全聚徳で食べまくって、お店の外に出るとすっかり日が暮れていました。前門の夜は電飾が煌々と照らすわけではなく少し薄暗い感じですが、それがまた古来からの中国商店街のノスタルジックを象徴していて素敵でした。

中国滞在の初日はまさに「食」を存分に学んだ?1日となりました。

 

≪二日目≫

2日目からいよいよ丹渓堂にて研修開始。ホテルから丹渓堂までは地下鉄でいったのですが、中国は今、警備が厳しくて画像のように改札をくぐる前に必ず荷物のチェックや身体チェックを受けます。

丹渓堂では路京華先生の診察を研修させていただきました。路京華先生は大変素晴らしい中医師で以前は読売新聞日曜版に漢方のコラムを執筆していた経験もあり日本語も堪能です。今回は画像のようなヘッドセットを装着し先生の診察を同席している中医師に日本語に訳してもらいながら研修させていただきました。

中国は経済成長に伴いストレスを強く感じている人が増えていて、ストレスからくる体調不良がとても多いそうです。実際に研修初日では不眠・高血圧・不安・のぼせ・口内炎・不妊・食欲不振・動悸・胸焼け・めまい・胸悶・などのご相談がありました。日本ではなかなかできない脈を取る「脈診」も体験させていただき、中医学の基本である望診・聞診・問診・切診(脈診)を勉強することが出来ました。特に舌の状態はその人の体を観るうえでとても重要で、先生はそれぞれの診の後に舌診で確認しているようでした。

この日は1日中路京華先生の診察を研修させてもらいまさに頭から煙が出るくらいに脳が疲れました(^_^.)
研修後はやはり夜の街に飛び出すしかないですよね!向かった先は北京を代表する繁華街「王府井」!!
王府井は「北京の銀座」とも言われる場所で特に賑わっている繁華街です。歩行者天国にもなっているので車の心配もありません。王府井に来たら絶対に散策するのがこの場所。

ここにはたくさんの路面店があり、サソリの串揚げ、臭豆腐、ヤモリの串揚げ、芋虫の串揚げなどなんとも日本では食べられないようなものがたくさんあります。私もサソリの串揚げをいただきました。触感はエビにとても近くて、カレー風味のパウダーのようなもので味付けされているのでとても美味しいです(笑)値段は20元(約330円)なので勇気を出して食べれば「中国に来たな!」と旅情気分もUPします。揚げられる前のサソリは生きた状態で串に刺さってお店の前で陳列されています。苦手な人はこの時点でアウトかもしれません(笑)

ちなみにサソリは生薬の一つで「全蝎(ぜんかつ)」と呼ばれ、関節のしびれなどに利用されます。

そんなこんなでがっつり勉強してがっつり中国の繁華街を楽しんで二日目は終了しました。

中国での診察ですが意外と悩み事は日本でご来店されるお客様とさほど変わらない印象を持ちました。やはり仕事のストレスやスマホ、運動不足などからくる体調のトラブルは中国も変わらないのだな…と、そんな感想をもちました。

 

≪三日目≫

三日目も朝から丹渓堂にて研修です。この日も胃のつかえや生理前のイライラ、発育不良(の疑い)、胃の不調、アトピー、不眠、不妊、鼻炎、ぜんそくなどの患者さんの診察を研修させていただきました。前日同様に「仕事が忙しい」や「仕事のストレスが強い」と訴える患者さんが多く、現代中国にとってストレスからくる不調がとても多いことが分かります。

診察研修の合間を縫って、生薬の調合風景も観察させていただきました。

辺り一面が生薬のとても良い香りに包まれていて、手際よく煎じ薬が作られていきます。エキス剤や丸剤も良いですが、やはり実際に生薬を混合しているのを見ると「煎じ薬もやってみたいなぁ…」と思いました。煎じ薬は効果は高いですが飲みにくさや服用の手間がかかるのが難点で日本ではなかなか難しいものですが憧れます。
また丹渓堂の中には季節ごとにお勧めの養生茶も販売されていました。煎じ薬でしっかりと治療する点と違い、気軽に「生薬で体調を整える生活」を提供している面もみられて興味深かったです。

そんな昨日とはまた違った部分がみられた研修を終えたら…、夜はまた中華料理を堪能しないといけません (笑)この日の夕食は四川料理の名店「東興桜(とうこうろう)」です。私が中国研修で食事した中で間違いなくNO.1に美味しかったお店です。

東興桜は四川料理のお店で、日本人がイメージする美味しい中華料理って感じします。しかも安い!お腹いっぱい食べても一人当たり1000円程度でした。
私以外の研修生も「中国でここが一番おいしい!」と言っていました。

そんなこんなで三日目も終了しました。

日本人がサプリメントなどを服用するような感覚で中国では生薬のお茶を日々の生活に取り入れている人がとても多いようでした。養生茶は季節の特徴をよくとらえており夏にお勧めのお茶であれば「体の中の熱を逃がす生薬、潤いを補う生薬」を中心とされており、春にお勧めのお茶は「ストレスを軽減する生薬 香りの良い生薬」を中心に配合されていました。人間も自然の一部、という考え方に基づいた中国の養生法が根付いている事は日本も見習っていきたいですね!

 

≪四日目≫

この日も午前中は路京華先生の診察風景を研修させていただき、午後は症例検討をさせていただきました。症例検討では実際に来院している患者さんの初診から現在までの体調の経過とその時に処方した漢方薬の意図を勉強しました。高齢の男性の症例で、初診では不整脈や手のしびれ、むくみ、横になると痰が絡んで苦しくなる(眠れない)、あくびがとまらない、などの症状を訴えていたようです。

高齢になると様々な体調不良が出てきて、一筋縄ではいきません。まるで絡みついた糸を一つずつ解していくかのように患者さんの症状を改善していき、現在ではとても体調良く過ごされているようです。「西洋薬が症状を抑える薬であるとすれば中医薬は体を改善するお薬」とはよく言われますが、今回の症例検討を通じて改めて中医薬(漢方薬)の素晴らしさや、体質を改善していくことが人生を豊かにするのだと感じました。大げさかもしれませんが、中医学を仕事としてさせていただけることに感謝とプライドを改めて持てたような気がします。

 

そんなこんなであっという間に丹渓堂での研修は終了!研修の後は…やはり食事ですね(笑)

この日の夕食は国医とも言われる叢 法滋先生と会食させていただきました。会食前には講義もしていただきました。中医学の起源などを含めた先生の講義はこれまた頭から煙が出るくらいに難解(^_^.)まだまだ私には叢 法滋先生の講義を100%吸収できるほどの知識がないと痛感しました。勉強せねば!ですね(*^_^*)

 

この日の夕食は精進料理のお店「開花素食」でした。肉類を一切使わない料理ですが、中には生チーズケーキを思わせるような美味しい食事だったり、精進料理と言われなければ気が付かないような肉のような食感のメニューもあり楽しかったです。ただ精進料理のせいなのか、なかなか癖のある味付けのものもあり僕は少し苦手な感じでした。

この日は食事の後に「中国の足つぼマッサージを体験したい」と思い、「良子」というマッサージ店へ向かいました。90分のコースで238元(約3,950円)とかなりお安い!しかも、足つぼマッサージの前に生薬の足湯に20分ほど浸かるのですが、これはコースの値段には入っておらず、しかもお茶やお菓子まで提供されます。日本でこれだけのサービスがあったら9000円くらいしそうなものでした。マッサージもかなり本格的でツボに入るたびについつい「ウーッ!」と声が漏れてしまいました。

そして、何よりも驚いた事は「接客意識」というものを強く感じられたことです。場所がオフィス街だからということもあるのかもしれませんが、入店時のあいさつや見送り、サービス精神がとても行き届いていて、今までの中国のイメージからは良い意味で裏切られました。

「心配り」や「気遣い」が中国のサービス業にも根付いてきているのかもしれませんね。
そんなこんなで四日目が終了!終わってみればあっという間に研修が終わってしまいました。
明日からはいよいよ中国観光!たくさんの名所めぐりが楽しみです。

 

≪五日目≫

診療所での研修は昨日で終了!五日目からは中国の観光を楽しんできました。
観光初日に向かったのは「万里の長城」です。北京のホテルからおよそ140kmの距離で、バスで行けば大体2時間30分くらいでした。
万里の長城は約6,300kmにもおよぶ人口壁で、中国を代表する文化遺産です。私が万里の長城を訪れるのは10年ぶりだったのですが、あまりの変貌ぶりに驚いてしまいました。
10年前の万里の長城はまだ観光地としての整備が行き届いていなくて、トイレは汚いし、ゴミは落ちているし、強引にものを売りつけてくるようなお店もあり、少なからずあまり気持ちの良い場所という印象はありませんでした。
しかし、今はもう立派な観光地になっています。トイレは驚くほど綺麗でお香のような香りも漂っていますし、駐車場から万里の長城までは昔の中国を模した街並みが再現されていて、そこにいくつもの商店や飲食店が入っていました。大げさではなく本当にディズニーシーのようなイメージです。店員のマナーもとても良くてお店もとても綺麗でした。またホテルも建っていて、くどいようですが万里の長城が立派な観光地になっていることがよく分かります。そして一番の驚きが、スターバックスが入っている事(笑)これには研修生一同みんな感動していました。

万里の長城まではケーブルゴンドラが動いており、楽に到着することができます。ゴンドラの到着点から万里の長城までは少し階段を歩きますが、15分ちょっともあれば到着できるのでさほど大変ではありません。
そして頂上に到着した写真がこちら

見渡すかぎりに万里の長城が続いていて「中国のエネルギー」を改めて感じられました。こんな壁が6,300kmにもわたってあるなんて規模が大きすぎますね。

現地の通訳さんがおススメするのが「夜の万里の長城」だそうです。夜になると写真↓のように万里の長城がライトアップされてさながら光の道になります。そして万里の長城へと続く昔の中国を模した場所ではなんと「プロジェクションマッピング」によるショーが!ショーの内容はイマイチ不明でよくわかりませんが、10年前の万里の長城を知っている自分的にはプロジェクションマッピングがある事だけでも驚きです。
中国が本格的に万里の長城を世界的な観光地にしようとしていることが伝わります。

今回10年ぶりに万里の長城を訪れて感じたのは、中国のエネルギーです。紀元前も前から万里の長城を作ろうという発想と実行力もすごいですし、近年の経済成長に伴うエネルギーも今回の万里の長城で感じる事が出来ました。もしかしたら観光地の整備という意味では日本よりも先に進んでいるかもしれません。日本も東京オリンピックが控えていますし、より外国人が安心して観光地を訪れられるように整備が進んでいくと良いですね。

 

≪六日目≫

観光2日目に向かったのはこれまた観光地の定番である「故宮博物館」です。1406年から12年の歳月をかけて築き上げ、そこから約500年近く皇帝が君臨したお城になります。総面積はなんと72万㎡!!とにかく広すぎて「故宮博物館をすべて見るには3日かかる」とも言われています。敷地内にある建物はどれも豪華絢爛で、個人的には日光東照宮の陽明門がいたるところにあるような印象を持ちました。

ちなみに下の沖縄のシーサーを思わせる2枚の写真ですが、オスとメスの違いがあるのですが、お分かりですか?

正解は右がメスで左がオスです。違いは右の方は左腕で赤ちゃんをあやしていて、左の方は右腕で玉を抑えています。赤ちゃんをあやす描写があるなんて少しかわいらしいですね。

500年の歴史がある建物だけあって明るい歴史も悲惨な歴史も残る文化遺産は一見の価値があり、ここに多くの人が住んでいたことを想像すると、やはり中国の歴史としての規模の大きさも感じられました。

故宮博物館を観光した後はショッピングモールでお買い物をしました。
中国のショッピングモールで驚いたのは普通に生薬の販売店がある事です。しかも昔ながらの漢方のお店という感じではなく画像のようにとてもPOPな感じのお店でした。

高級生薬からベリーなどジュースになるようなものまで幅広く扱われており、こんなタイプのお店は日本では見たことがありません。お客様が実際に生薬を手に取って香りを感じてもらったり、生薬の特性を知っていただいて必要な分だけ量り売りする販売形態はとても興味深く、私の新店舗でも実現させてみたい内容でした。フラッと立ち寄ったショッピングモールでこんな嬉しい発見があって最高にラッキーでした。

その日の夜は「御仙都」という場所で夕食をいただきました。御仙都は中国食文化の昔から今にかけての物語を舞台上で観劇しながら食事ができるお店です。

一品ずつ料理が運ばれてくるのですが、その料理に関する踊りや歌がステージで披露され、ステージ横のモニターには料理の解説が映し出されます。日本語では表記されていなかったので、内容を理解することはできませんでしたが、なんとなくバブリーな印象は受けました(@_@;)
そんなこんなで六日目が終了しました。

 

≪七日目≫

八日目の帰国を前に中国をゆっくりと観光できる最終日になりました。この日に向かったのは雍和宮(ようわきゅう)です。万里の長城や故宮博物館と比べると少しマイナーな観光地ですが、北京最大のチベット仏教の寺院として有名です。

寺院に入ると日本でいうお線香のようなものをいただくことができます。

辺りではお祈りをしている人がたくさんいて、今までの観光地とは違い「御祈りの場所」としての雰囲気があります。
寺院を進んでいくとお経が書かれた本をいただけるのですが、これは金額が決まっておらず自分の気持ちの額を納めます。お金を納めたら名前を記入するようになっています。

その先には写真のような仏像があります。チベット仏教はあまりなじみがないのですが、空間の重厚感などを感じる事は出来ました。

午後はこれもまた少しマイナーな観光地である白雲観(はくうんかん)へ向かいました。白雲観は道教寺院で道教の中でも二大教派の一つである全真教の本山になります。ここもまた観光客は少なくてとても静かです。寺院独特の凛とした空気感の中で散歩するのは観光地とはまた違った気持ち良さがあります。
正直、チベット仏教同様に道教についてもまったく知識がなかったものですから、寺院内を歩いていてもあまりピンとくる場面がなかったのですが、寺院内には「薬王殿」があり中には張仲景や華佗などが祭られていました。お薬に関わる仕事をしているということもあり、ここだけはしっかりとお参りしてきました(^_^.)

そんなこんなで中国観光最終日が終了!白雲観や雍和宮に関しては知識がなかった分、あまり観光の内容を理解できなかったのが残念でした。日本に帰ってきて調べるとなかなか面白い場所だってわかるのですが…もっと事前に調べておくべきでした(>_<)

そしてこの日は研修に同行していた先生の中に鍼灸の先生がいたので、お願いして針治療を初体験しました!
中学生の頃、注射が怖くて仮病を使って逃げた経験のある私。実は針とか先端の鋭い物が苦手で、特に「刺される」なんて恐怖でしかありません。
が、しかし!ここは人生経験の一つだと覚悟を決めてお願いしました。
右肩をけがして以降、右腕にしびれを感じる事が多かったので、その旨をお伝えしたらこんな感じで針を刺していただけました。

細い針だったということもあり、思っていたほど痛みを感じる事もありませんでした。施術後は何とも言えない気怠さを感じましたが翌朝にはすっきりとしていて、しびれも軽減していました。針もなかなか良い物ですね!

そんなこんなで七日目が終了しました。
中医学が中国の歴史や宗教観とも密接に関係があることを経験できた1日なりました。

 

≪最終日≫

中国研修も最終日を迎えました。夕方4時の飛行機で帰るため、この日は午前中のみ病院での研修をすることになったのですが…、その研修先がものすごいところでした。
研修でお世話になった病院は広安門病院です。そしてそこで「国医大師」の路志正先生の診療風景を研修させていただきました。国医大師とは中国の中医師の中でたった30名にしか与えられていない称号で、55年以上の臨床経験を持ちなおかつ医者としての品格なども兼ね備えた大先生です。

路志正先生の部屋に入ると多くの白衣を着た先生方がいました。実はこの先生方は皆さんそれぞれ名のある先生ばかりで、路志正先生の診察を勉強するために中国全土から勉強しに来ているのだそうです。
そんな大先生の診療中にお邪魔したものですから空気感がとても張りつめていて、とても緊張しました。
路志正先生の診療を研修できることなどもうこのような貴重な経験は2度とできないかもしれません。

ちなみに中国では画像のようにどの先生に観てもらうかで診察料が変わります。中々シビアなシステムですが、路志正先生クラスだと500元(約8,300円)です。

診療所の入り口付近にこのような掲示物があり、先生の名前、資格(位みたいなもの?)、得意分野、診察時間、そして価格が掲示されています。主任医師だと100元(約1,700円)くらいです。診察してもらう先生によって費用が変わるのは日本では考えらないシステムですね。

また中国の病院では患者さんが西洋医学的な診察を希望するか、中医学による診察を希望するかを選べるようになっていて、お薬の受け渡し口も「西薬房」と「中薬房」と分かれております。この辺も日本とは違う点ですね。

以上が私の八日間にわたる中国での研修内容でした!
日本で10年間、中医学の相談専門薬局として活動してまいりましたが、こうして本場の診療風景や文化に触れるとますます中医学が大好きになりました。
中医学は人の体質や生活環境などを見極めて、その人に合った対処方法やお薬を提案いたします。今回の診療風景でも何気ない会話や問診から患者さんの体質を見極め、同じような悩みを持った患者さんでもお薬が変わっていくなど、中医学の素晴らしさを再確認する機会が多かったです。そして何より素晴らしかったのが、体調が良くなっている患者さんが笑顔で診察室に入ってくることです。「病気だから病気を治す」のではなく「人生を豊かにする」これぞ、中医学の神髄かもしれません。

本当に素晴らしい経験をありがとうございました。