陶先生の漢方相談会が行われました!

陶 恵寧(とう けいねい TAO HUINING)

4月23日土曜日に痛みに大変詳しい、中医学講師の陶惠寧先生をお招きして漢方相談会を開催しました。当日は、雨が降りしきる中たくさんの方に来店していただきありがとうございました。また、陶先生には「痛み」について対談をさせていただき、大変貴重な話も聞けました。お客様の健康生活のご参考にしていただければ幸いです。

【陶 恵寧(とう けいねい TAO HUINING)】

  • 1962年生まれ。中国無錫の出身。
  • 1984年南京中医薬大学中医学部(中国漢方)に入学。卒業後、二年間の病院勤務を経て、広州中医薬大学大学院に進学。
  • 1989年医学修士課程を修了、北京中医薬大学に配属、漢方の教育と臨床診療に従事。
  • 1997年留学のため来日
  • 2002年順天堂大学大学院で、医学博士学位を取得。その後、同大学医学部で漢方の研究と講義を担当。
  • 現在日本中医薬研究会の専任中医学講師として、中医漢方の教育と普及に従事。

【痛みの原因】

中山 「陶先生、今日は遠いところから、また雨の降る中お越しいただきありがとうございました。」

陶 「中山先生は中医学に精通されている日本の方との事で、私も会えて光栄です。今日はよろしくお願いします。」

中山 「早速ですが、当店では生理痛の相談が多いのですが、最近では関節痛やリュウマチなどの痛みで悩んでいる方の相談も増えてきました。先生は、痛みについてどのようにお考えですか?

陶 「年配の方は長年、体を酷使しています。中医学では痛みが出ていなくても女性では35歳ぐらいから男性では40歳ぐらいからだんだん体の機能が低下する、つまり老化が進行していると考えられています。さらに悪化すると気と血の流れが悪くなり痛みが出てくるのです。また人間は、絶えず風、湿気、寒さなどの季節特有の影響を受けていて年齢を重ねるとともにそれに対応できなくなることも原因の一つです。

中山 「なるほど、老化以外にも痛みを引き起こす原因がいろいろとあるのですね。最近では薬局やドラッグストアでも手軽に病院で使われている鎮痛剤が手に入るようになりましたが、店頭でお客様の話を聞いていると、一時的に痛みが止まるだけで改善はしていないと言われます。それは痛みを抑えているだけで、根本的な改善をしていないということです。それゆえに痛みから解放されることを諦めているお客様が非常に多いように感じるのですが、中医学では根本的に治療することは可能でしょうか?」

陶 「中医学では痛みを訴える方に対面したとき、『なぜ痛むのか?』という原因追究から始まります。それが老化から来るものなのか、血行の悪さからくるものなのか、季節的なものなのか、それは人それぞれです。人それぞれの状況を考えたうえで対策を決めていく、これは西洋医学の対症療法ではなく中医学の根本治療といわれる理由です。」

中山 「確かに、中医学がオーダーメイドと言われる所以ですね。」

陶 「そうです。根本治療を得意とするのが中医学ですね。」

 

【痛みの治療の仕方】

中山 「陶先生は、痛みに関してはどのような治療をされますか?」

陶 「中山先生もご存知のとおり、痛みには様々な原因がありますのでその原因を突き止めて取り除くことが一番大事です。季節などによっても考慮する必要があります。先生は梅雨の季節などではどのように考えますか?

中山 「梅雨時になると、体が重だるくなり関節痛を感じる方がいます。そういう方には湿を取る漢方薬を使うと改善する例がよくあります。さらにそういう方は、胃腸虚弱で代謝が悪く湿が溜まりやすく痛みをさらに悪化させる場合が多いので胃腸を整える漢方で体質を変えることは重要だと考えています。また冬の時期など寒さで縮むような痛みを伴う時は体の芯を温める漢方薬と血行を良くする漢方薬を使うことが多いです。ただ、厳密にはその方のお話をよく聞いて体質を改善していくことを考えています。」

陶 「それは大事です。特に日本の方は胃腸系の弱さが社会的要因としてあります。中医学では補腎・補脾・活血という痛み治療の3原則があります。 
①補腎は体が温められて内臓や関節や筋肉などの動きを活発にしてくれます。
②補脾は、消化吸収機能を高めて栄養を関節などに送る働きが活発になります。
③活血は血液の循環を良くします。」

中山 「今、『補腎』という言葉が出てきましたが、『腎』についてもう少し分かりやすく説明していただけますか?」

陶 「中医学でいう腎とは、西洋医学でいう腎とは違って主に人間の成長・発育・生殖・泌尿及び腰、骨をつかさどる内臓とみています。年を取ると腎の働きが衰えていくので様々な老化現象が出てくるのです。」

中山 「なるほど、腎を元気にするということは本当に大切なことですね。」

陶 「日本でもさまざまな種類の補腎薬が手に入ります。冠元顆粒のような血行を良くする漢方薬や補脾する健脾散と合わせて飲むことが大切です。痛みが出てからの対策より痛みが出ないような体作りを勧めたいですね」

 

【相談の際に伝えたいこと】

陶 「中山先生は、普段痛みについて相談を受けたとき、気をつけて話すところはありますか?」

中山 「漢方を服用するだけでなく日常生活の養生の仕方についても詳しく話すことにしています。痛みが続く前に養生した方が良いので老化の始まりが来たらアンチエイジング(年を上手に重ねる方法)や食事、運動面でのアドバイスはできるだけさせていただいています。また、痛みで悩んでいるお客様は、実はよくよく話を聞いてみると痛み以外でも悩んでいることがホントに多いです。痛さは本人の方以外理解してもらえないのですから「痛み」を自分の立場に置き換えて気持ちをわかってあげることが大事だと思います。

陶 「そうですね。その人が一番幸せになるように対応することがなによりも大切なことですね。痛みに対して中国漢方はとても重要な措置だと考えます。また2つの注意点があります。
①老化現象の進行は早いので中国漢方の対策として早めに痛みの対策を始めた方がいいですね。
②また血行を良くする為に正しい体の運動を毎日するのが良いです。」

中山 「『早めの対策』ですか・・・、僕も気をつけなくてはいけませんね(笑)今日は遠いところから、またお忙しい中ありがとうございました。大変勉強になりました。またよろしくお願いします。」

陶 「こちらこそ素晴らしい出会いに感謝しています。ありがとうございました。」