貴央先生の漢方ブログBLOG

花粉症に『漢方体質改善』という選択肢を

こんにちわ、宇都宮市の天明堂薬局の中山です

 

 

 

毎年のように悩まされる花粉症。

その症状を想像するだけでも憂鬱になってしまう人もいます。

もし、花粉症が体質によってその症状を悪化させてしまうものだとしたら、ほとんどの方はその体質を改善したいと願うでしょう。

しかし、現状は『アレルギー反応を抑える薬を飲む』という対策が一般的になり、『体質を変えてみよう』という対策はあまり浸透していません。

漢方の世界ではアレルギー性鼻炎を『体質から考えていき、改善に導いていこう』というアプローチがあります。

今回はアレルギー性鼻炎が悪化していく人の体質を大きく3つに分けて考えていきます。

 

 肺気虚

漢方の世界における『肺』は西洋医学の世界における『肺』とは少し異なる部分があります。

漢方には『肺は皮毛を主る』という概念がり、肺の気(エネルギー)が不足することで肌や粘膜の防御能力が低下し、その状態になると花粉・ウイルス・埃・ばい菌などの邪気(体にとって有害なもの)の影響を受けてしまいます。

また、漢方における『肺』は『鼻に開竅する』という考えもあり、鼻のトラブルと肺のトラブルは密接に関係すると考えます。その他にも『肺は水道を通調する』という考えもあり体液の散布や排泄にもかかわります。

つまり、『肺』が弱っている人の特徴は

鼻のトラブルが出やすい 呼吸器系のトラブルが出やすい 乾燥症状や逆に浮腫み症状が出やすい

風邪や花粉症になりやすい 肌が乾燥しやすい 息切れしやすい

などが挙げられます。

『肺』の弱りは生まれつきの体質もありますが、運動不足、たばこ、冷たく乾いた空気を吸うなどによっても

機能が低下します。

これら肺気虚体質の人は肺の気を補うことで花粉症の症状を軽減することが出来ます。

 

肺気虚にお勧めの漢方薬

玉屏風散(ぎょくへいふうさん)

玉屏風散という名称には『体の周りに玉(玉=素晴らしい・高価、という意味)屏風を立てて邪気から体を守る』という意味があります。日本では衛益顆粒という名称で購入ができる漢方薬です。

アレルギー性鼻炎の基本処方と言っても過言ではないほどとても認知度の高い漢方薬です。

黄耆、白朮、防風の3種類の生薬から構成されており、長期の服用も可能です。

 

肺気虚にお勧めの食材

肺気虚を改善していくためには漢方薬の服用のみならず食養生も大切です。

肺の気を高める食材には以下のようなものが挙げられます。

長芋、ジャガイモ、サツマイモ、はちみつ、もち米、水あめ、ローヤルゼリー、鯖

肺を乾燥から守る食材には以下のようなものが挙げられます。

白きくらげ、アスパラガス、牛乳、豆乳、松の実、チーズ、イチゴ、卵、白ごま

 

 

 

脾気虚

『脾』は現代医学でいう消化器系に近い存在です。食べたものを消化して体のエネルギーである『気』や栄養や血液である『血』、生命力や生殖能力に関わる『精』などを作ります。

漢方の世界において『肺』と『脾』は『脾は肺を生む』という関係があり、脾が弱ると肺気虚を招くと考えられます。消化器系が弱ることでアレルギー症状が強くなる、というのは漢方独特の考え方かもしれません。

しかし、店頭でも花粉症やアレルギー性鼻炎でご来店される人に軟便や胃腸機能の低下、食欲不振など多く見られるのも事実です。

脾気虚がアレルギー性鼻炎の直接的な原因になるというよりも、『脾気虚により肺気虚を招きやすくなる』と考えられます。

特に日本は生もの、冷たい飲食を好む傾向があり、胃腸が弱い国民性であると言われています。

アレルギー体質の根本的な改善には肺と脾の両方をケアしていく必要があるでしょう。

 

脾気虚にお勧めの漢方薬

脾気虚にお勧めの漢方薬は多種多様にあります。

そんな中でも今回は参苓白朮散をお勧めしたいと思います。参苓白朮散は益気健脾・滋補脾陰を特徴とした処方で、脾気陰両虚に特に使いたい処方です。軟便傾向の方にも利用しやすく長期の服用も可能です。香・味ともに服用しやすいため、小さなお子様から年配の方まで服用しやすくなっています。

 

脾気虚にお勧めの食材

脾は食事の影響を受けやすい臓です。

脾気を高める食材には以下のようなものが挙げられます。

米、長芋、ジャガイモ、サツマイモ、シイタケ、キャベツ、インゲン豆、肉類、ドジョウ、ウナギ、鯖、カツオ、イワシ、ハチミツなど

 

脾はストレスを感じることにより動きが悪くなります。そのため、ストレスを軽減する食材などもおススメです。ストレスからくる脾の動きの低下にお勧めの食材は以下のようなものが挙げられます。

玉葱、ニラ、ラッキョウ、柑橘類、蕎麦、ミント、香野菜

 

 

 腎虚

漢方における『腎』は西洋医学における『腎臓』とは少し異なる部分があります。

腎は骨の強さや生殖能力、髪、生命力、脳の働き、深い呼吸、体の潤い、耳の働きなどに非常に深い関係があり、『人の老化は腎の老化』という言葉があるほど、人間の老化と関連が深いです。

また、肺が『呼気を主る』、腎が『納気を主る』という役割があり、肺の働きによって吸い込んだ空気を腎が下に降ろしています。すなわち腎が衰えると吸い込んだ空気が下に降りにくくなり、呼吸が浅くなったり息苦しさを感じることもあります。

また五行学説では肺と腎は親と子の関係があり、肺が弱れば腎も弱り、腎が弱い人は肺も弱る、と考えています。

すなわち、腎が衰える腎虚は脾気虚と同様に直接的なアレルギー性鼻炎の原因となるというよりも、『腎虚により肺気虚を招きやすくなる状態』と、なります。

腎が弱っている人の特徴は

足腰が冷えて痛む 息切れ 深い呼吸ができない 耳鳴り 生命力の低下 物忘れ 抜け毛・白髪

肌に潤いを感じない 不安感や恐怖感が強くなる

などが挙げられます。

 

腎虚にお勧めの漢方薬

腎の働きを補う『補腎薬』は多種多様に存在します。

その中でも今回は八仙丸をお勧めしたいと思います。八仙丸は六味地黄丸を基本構成に麦門冬・五味子を加えてものです。肺陰虚傾向がある腎虚に適するため、空気が乾燥する時期や喫煙者などに良いでしょう。

長期服用することで腎の衰えを防ぐ事も期待できるためアレルギー性鼻炎や花粉症のみならずアンチエイジングの処方としても利用できます。

 

腎虚にお勧めの食材

腎の衰えは加齢と共に進行するため腎虚は避けて通れないものです。

少しでも腎虚の進行を遅らせるためにも腎に良い食材を意識して食べたいところです。

腎にお勧めの食材には以下のようなものがあります。

黒豆、黒米、黒きくらげ、昆布、シイタケ、蕎麦、栗、クルミ、鮭、アジ、エビなど

 

 

まとめ

アレルギー性鼻炎や花粉症の体質を改善していくためには

『肺気を強化しながら、体質によって脾と腎も強化していく』

ということになります。

そのため、人によって肺気虚だけの改善だけで良い場合もあれば、肺気虚+脾気虚、肺気虚+腎虚場合によっては肺気虚+脾気虚+腎虚の改善も必要な場合があります。

そのため、自分の体質を正しく判断することが、体質改善の第一歩となります。

花粉を『毎年辛い』と感じている人にこそ、ぜひ体質改善という選択肢をお試しいただけたらと思います。

 

中山 貴央

中山 貴央先生

薬剤師 / 国際中医専門員 / 薬膳コーディネーター

子宝相談、婦人科相談、美容相談を専門としています。
唯一無二の自分の心と体、そして人生だからこそ根本から改善できる漢方を試していただきたいと思っています。

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