35歳からの妊活に漢方薬はとてもお勧めです。

晩婚化が進む日本

社会情勢の変化により日本では年々初婚年齢が上昇しており、晩婚化の傾向があります。
昭和22年のデータでは男女の初婚平均年齢は(男26.1歳 女22.9歳)でしたが、平成28年度では(男31.1歳 女29.4歳)となっており、男女ともに明らかな晩婚化が進み今後も晩婚化は加速するとの見方がされております。
中医学では特に女性の身体は7の倍数で変化すると言われています。

※イスクラ産業HPより引用

このグラフから照らし合わせると多くの女性が初婚時にすでに女性としての生理機能の低下が始まる時期であることが分かります。
西洋医学的にも加齢とともに不妊率が上昇することはわかっており、25~29歳の不妊率が8.9%であるのに対し、35~39歳になると21.9%、40~44歳では28.9%と上昇していきます。
晩婚化の流れが進む現代社会だからこそ、いかに女性としての老化を防ぎ妊娠できる体を作っていくことができるのかが重要と考えています。

不妊治療については現代医学でも目覚ましい発展を遂げています。しかし、先進的な部分ばかり発展してしまい、女性としての体の基礎を整えるという観点が抜けてしまいがちなところも否めません。
中医学をはじめとする漢方医学は「人も自然の一部。体本来のバランスを整えることが重要」と考えています。
逆を言えば、人としてのバランスが乱れ、心身の基礎が整っていない状態では安心安全な妊娠は望めない、というわけです。

晩婚化が進む現代だからこそ、女性におススメしたい漢方薬と食養生をご紹介したいと思います。

35歳からの妊活でやるべき体質改善!
キーワードは「補腎・活血・補血」!!

キーワード1 補腎

中医学における「腎」には生殖機能や発育、生長、ホルモンの分泌、免疫機能などの考えが含まれております。
腎の働きが良いと生殖機能の充実につながり、質の良い卵胞の成長・排卵、十分な黄体ホルモンの分泌、妊娠の維持、安全な出産が可能になると考えられています。
先ほどのグラフからも分かるように中医学では35歳を境に腎の機能が低下をはじめ(ホルモンの分泌量の減少)、それに伴い月経の不調もみられるようになり妊娠率が下がっていくと考えらえています。
「人の老化は腎の老化」という言葉もあるほど、腎の衰えは人間の体の老化に直結するため、早め早めの補腎が大切です。35歳過ぎたら補腎は必ずしましょう。

キーワード2 活血

活血とはいわば「血行を良くする」ということです。
血には体組織に栄養を与える役割と、老廃物を除去する役割があります。イメージとしては宅配業者とゴミ収集車が合わさったような存在です。
宅配業者とゴミ収集車が機能していれば、各家庭に滞りなく郵便物が届き、ゴミも溜まりません。
体の中も同様に、血流が良ければ体の各組織に十分に栄養が行き届き、体の中で生まれた老廃物はしっかりと除去されるということです。
血流が悪くなると栄養が十分に運ばれない&老廃物が溜まる、ということになり体の老化は加速します。
卵巣も「卵を作る工場」と考えれば、そこに十分な栄養が届かなければ質の良い卵は作れませんし、卵巣を流れる血流が悪ければ卵巣の老化にもつながります。全身をくまなく流れる血だからこそ、その流れは滞ってはいけないのです。

キーワード3 補血

活血が血流改善であれば、補血は血の質の改善という意味になります。
活血の中でも話しましたが、血は全身に栄養を与える役割があります。そのため、血流が良かったとしても血の質が良くなくては意味がありません。
多くの女性は生理による定期的な出血により貧血傾向にあります。ここでの貧血とは血の量ではなく、血の働きが悪い状態を意味します。
本来であれば失われた血を十分な食事で補給しなくてはいけないのですが、栄養バランスが乱れていたり、ダイエットを意識したりして、十分な血を補えていない人が多いです。

血は心身に栄養を与えるため、血の質が悪くなると、めまい、たちくらみ、肌荒れ、疲れやすい、髪の毛がパサつく、目が疲れやすい、気力が湧かない、心配性、眠りが浅いなどの症状が表れやすくなります。
補血は妊活以外にも女性が健康的に生活するうえでとても重要なので、もしも上記のような症状があれようでしたら、妊活の有無や年齢に関わらず補血をするべきです。

補腎・活血・補血 それぞれにお勧めの食材

補腎にお勧めの食材

※イスクラ産業HPより引用

活血にお勧めの食材

  • にら
  • らっきょう
  • 青背の魚
  • ねぎ
  • しょうが
  • ニンニク
  • なす
  • くわい
  • 山椒
  • 紅花
  • 酢 etc…

補血にお勧めの食材

  • 肉類(豚 鳥 羊 牛)
  • 小松菜
  • 人参
  • ゴマ
  • 黒きくらげ
  • レバー
  • トマト
  • ピーマン
  • 龍眼肉

補腎 活血 補血 それぞれにお勧めの漢方薬

補腎薬

補腎薬の多くは六味地黄丸から派生したものが多く、沢山の種類があります。
体質に合った補腎薬を選ばないとかえって体調を崩すこともあるため、自分の体質に合った補腎薬を選ぶことがとても重要です。

※イスクラ産業HPより引用

自分に合った補腎薬を選ぶためにもぜひご相談ください。

活血薬

血行を良くする漢方薬もたくさんの種類があります。冠元顆粒疎経活血湯桂枝茯苓丸血府逐瘀丸などが有名ではありますが、やはりこれらも厳密には違いがあるので服用の際は自分の体質に合った処方を選ぶことが重要です。
また健康食品の爽月宝なども利用されることが多いため、医薬品にこだわらない選択も可能です。
なにより活血には適度な運動、入浴、ストレスを溜めこまない、胃腸を冷やさないなどの生活養生も大切になりますので、漢方薬を服用の際は養生法も一緒にアドバイスさせていただきます。

補血薬

妊活における補血薬として代表的なものには婦宝当帰膠があります。この処方は卵巣機能の向上に期待がある生薬「当帰(トウキ)」の量が非常に多く配合されています。シロップ状の甘い口当たりで飲みやすく、漢方薬が苦手な人でも服用が可能です。
ごくまれに婦宝当帰膠で胃もたれを感じる場合は、胃腸の働きを助ける漢方薬を併用するか、もしくは帰脾湯など胃腸にやさしいタイプの補血薬を利用することもあります。

まとめ

人は生まれてから老化の一途をたどることは宿命ともいえます。
補腎薬で生殖機能の老化を防ぎ、活血で全身に栄養を運搬&老廃物の除去の促進、補血で血の質の向上を図ることで、老化のスピードを遅らせ妊活にも大変有効と考えられます。
晩婚化が進む現代社会だからこそ、漢方薬と食養生で生殖機能の老化を防いでいきましょう。
人間としての基本を整えることが、安心安全の妊活につながるはずです。

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