最近、歳をとったなぁ~、と実感するんですが、漢方では老化を予防するようなものはあるんでしょうか?
当店で意外と多いのがこのご相談です。「親がなんだかボケてきたような気がする」、「親が最近、元気がなくなってきた」、「将来、子供たちの手をやかすような老後は送りたくない」などなど...、自分のこと、家族のことで不安を抱いている方が多いように思います。
人は生まれてきた以上、老化という問題は避けて通れません。近年、アンチエイジングなどの考え方を中心に、「いかにして、元気に長く人生を楽しむか」が多くの方のテーマになってきています。中医学では老化の予防、進行を遅らせることを養生医学という観点から発達させてきました。
今回は「胃腸の弱りから考える老化予防」を、そして次回は「血液から考える老化予防」を書いていきたいと思います。
■胃腸の弱りから考える老化予防
視力の減退、疲労しやすい、食欲がなくなる、筋肉の衰え、ボケ、耳が遠くなる、皮膚につやがなくなる...などなど...。老化現象は歳とともに顕著に現われてくるが、それは私たちの臓腑と深く関係していると考えられます。
①脾胃の衰え
脾胃とは簡単にいえば、胃腸のようなものです。脾胃は普段の食事から体に必要なエネルギーを作り出し、全身の各組織に供給することによって、体の成長や臓腑の健全な機能を維持しています。脾胃が弱ると「胃腸が弱い」「食欲がない」「疲れやすい」「筋力の低下」などの症状がみられ、老化現象を早めることになります。ちなみに体が細い人(筋力が弱い人)を「ひ弱(脾弱)な人」というのはこの考えから来ています。
代表的な方剤には四君子湯・六君子湯・香砂六君子湯・補中益気湯・十全大補湯・参苓白朮散・かっ香正気散などなど...ありますが、症状によって使い分けていくことがとても大切です。
四君子湯・・・胃腸を元気にし気を補うもっとも基本的な方剤です。長期的な使用が可能ですが、気を補う作用はさほど強くないので疲れや、めまい、たちくらみ、など気虚症状が強い場合は別のものがいいでしょう。
六君子湯・・・四君子湯に半夏と陳皮を加えたもので、四君子湯と比べると体を乾燥させる働きが強化されています。湿度が高く生モノや冷たいものを好んで食べる日本人の国民性を考えると四君子湯よりもなじみがある処方です。脾胃の弱りにより、体に余分な水が溜まることによって起こる、痰や下痢、嘔吐、舌の苔がベットリ、胃のムカムカに効果があります。
香砂六君子湯・・・六君子湯に木香と縮砂を加えた方剤です。気の巡りを良くする生薬が加えられたことにより下痢や胃痛、老人の胃もたれにより効果があるようになっています。ストレスからくる胃腸に不調にもいいでしょう。
補中益気湯・・・おそらく最もみなさんになじみのある方剤ではないでしょうか。脾胃の気を回復し、オウギやサイコ、ショウマなどの気を上に挙げる生薬が配合されているため、めまい、疲労、息切れ、脱肛、胃下垂、子宮下垂など、気が下に落ちているような症状に使われます。
十全大補湯・・・この方剤は気を補う基本方剤の四君子湯と血を補う基本方剤の四物湯に体を温める働きのある肉桂を合わせたもので、気が衰えすぎて体を温める力すらない陽虚という状態の方に適しています。ただし、この方剤は薬性が温かいため、高血圧のかたは使うのに注意が必要です。
参苓白朮散・・・四君子湯に扁豆やヨクイニン、山薬、蓮肉などの下痢を止める生薬と、縮砂、桔梗が入っている方剤で、過敏性大腸炎や慢性胃腸炎、水あたり、消化不良により効果があります。胃腸が弱く軟便~下痢の人に使用されます。
かっ香正気散・・・湿度が高い日本では、実は最も頻繁に使用されてもいいかもしれない方剤です。体が重だるい、味の濃いものが好き、口が粘る、下痢など体に余分な水がたまっている人には効果が絶大です。余分な水を抜き、胃腸の働きを高め、消化力を高めます。ビールで胃腸を冷やしてしまう...、冷たいジュースで下痢が...、体がむくんでしまう...、是非試していただきたい方剤です。
以上の方剤はごく一部ですが用途など様々です。服用される場合は、自己判断せずに ご相談のうえ服用されることをお勧めします。





