むくみを治す漢方薬にはどんなものがあるのでしょうか?

 むくみは主に「上半身がむくむのか」「全身がむくむのか」「下半身がむくむのか」などの分類ごとに漢方薬を変えることがあります。自分で判断せず、ご相談のうえ決めるのが良いでしょう。

手を振る女性① 主に顔などがむくんでしまう人

 顔がむくみやすい人は、中医学では「肺気不宣(はいきふせん)」という状態が考えられます。中医学の世界では、肺は呼吸器系のみならず、体全体に水を行きわたらせる働きがあると考えています。また、肺は五臓のうち最上部にあるため、肺の働きが低下すると体の上部に水がたまり、むくみを起こすと考えるのです。急にむくむ事が多く、時に、発熱やのどの痛み、咳などを伴うこともあります。

 代表的な漢方薬に越婢加朮湯(えっぴかじゅつとう)や苓甘姜味辛夏仁湯(りょうかんきょうみしんげとう)、小青竜湯(しょうせいりゅうとう)などがあります。

 越婢加朮湯は有名な処方で腎炎によるむくみやリウマチにも用いられることがあります。慢性的に使うことはあまりせず、舌の苔がなくなり表面がつるつるしてくるようであれば、使用は中止した方が良いでしょう。

 苓甘姜味辛夏仁湯は寒気がする風邪で、痰がたくさん出るような時に主に使われますが、冷えを伴う顔のむくみにも応用できると考えられます。小青竜湯にも似ていますが、苓甘姜味辛夏仁湯はむくみや咳を改善する一方で頭痛や悪寒、喉の痛みに対する効果は低いとされていて、茯苓や乾姜などの温薬・補薬がある分、虚弱体質の人にも安心して使う事ができます。

②主に全身や手足がむくんでしまう人

 全身がむくみやすい人は、中医学では「水湿困脾(すいしつこんひ)」という状態が考えられます。生モノの食べすぎ、雨にぬれる、湿度の高い土地に住む、冷たい飲食を好む、などにより脾(消化器系)が冷えることにより、脾が持つ水の運化機能が低下しむくみが起きます。身体がだるく、力が入らない、食欲がない、顔色が悪い、下痢や軟便気味などの症状を伴う事があります。

 代表的な漢方薬に五苓散(ごれいさん)や茵陳五苓散(いんちんごれいさん)があります。

 五苓散は利水薬と温性の桂枝を組み合わせた処方で尿量が少なく下痢などを伴うむくみに多く使われます。しかし、桂枝が入っているため、赤ら顔や舌が赤いなど明らかに体に熱がこもっているような状態の方には使わない方が良いでしょう。

 茵陳五苓散は五苓散に茵陳蒿が入っているため、五苓散では適さない、熱症状がある方にも使えるでしょう。

③おもに下半身がむくむ人

 主に下半身がむくむ人は中医学的では脾の弱りが長期化して「腎陽不足(じんようふそく)」という状態が考えられます。中医学での腎には「水を主る」という働きがあるとされ、体に不要な水分は尿に変えて体外に排出し、必要な水分は再吸収して全身に還元します。これを腎の気化作用といいます。腎の陽が不足すると、この帰化作用がうまくいかずむくみが発生します。腰が冷えたり、腰痛があったり、手足の冷えなどがある場合が多く、運動不足が目立つ若い女性にも多くみられます。

 代表的な漢方薬に真武湯(しんぶとう)や牛車腎気丸(ごしゃじんきがん)があります。

 真武湯の真武とは水と火を管理する神のことで、下半身が冷えてむくみがある人によく使われます。牛車腎気丸も真武湯と同じような処方ですが、むくみ以外にも腰痛やめまい、耳鳴りなどにも利用されることがあります。

 体の水分調整は主に、「肺」・「脾」・「腎」を中心に行われています。適切な漢方薬を飲む以外にも、適度な運動と冷たい飲食を控えることが生活習慣に求められます。


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