疲労感がひどくて仕事が手に付きません。ドリンク剤はあまり飲まない方が良いと聞いたことがあるのですが、漢方ではどんな方法があるのでしょうか?
疲労は中医学では虚労という名で一つの病名とされています。どんな症状が出ているのかなど、症状に分けて漢方薬を飲むことが大切です。疲れやすいという人は多くいます。ですが現代医学ではこうした状態を治療対象としない傾向があります。疲労は万病の元であり、なにより日常生活が楽しく送れないのはとても残念なことです。中医学では体質を重視して症状を改善するため病名に頼ることはありません。コンディションを整えて元気な毎日を送るためにも漢方はお勧めです。まず疲労感がおきる原因を考えますと大きく4つが挙げられます。
1つは「虚弱体質」です。
中医学では、先天の精(父母から受け継いだ生まれ持った生命力)が弱い人は虚弱体質になりやすいと考えます。つまり、父母の栄養状態が悪ければ生まれてくる子供も虚弱になりやすいということです。
2つは「過度の性生活」です。
精は体や内臓の働きを充実させる大切な物質と考えられ、過度に消耗することは疲労感につながります。
3つは「飲食の不節制」です。
私たちは食べ物や飲み物からエネルギーや栄養を作っています。偏った食事をしたり、過度なダイエットをすると栄養が足りなくなるばかりか胃腸の働きが低下し、エネルギーを生みにくい体になり疲労感が加速的に進みます。テレビなどでダイエット食品や健康食品が紹介されるとその食べ物ばかりに偏ってしまいバランスを崩してしまう方が多くいます。漢方では辛・甘・酸・苦・鹹の五味がそれぞれ必要と考えられます。
4つは「過度の疲労」です。
過度な疲労は当然、体のエネルギーを消耗するため、肉体を養うことができず疲労感や体調不良の原因になります。異常が虚労の原因になります。
次に症状のそれに対応した漢方薬をご紹介します。
【心虚労】
動悸や不安感、胸の痛みが見られるの特徴です。また顔色が白い方に多くみられます。この場合は心の気血を補給して血の流れを改善させるのと同時に精神の安定を目的とした漢方薬を飲むことが大切です。
代表的な方剤に十全大補湯や麦味参顆粒、帰脾湯などがあります。麦味参顆粒は特に疲労が強い人にお勧めで、スポーツをする人やお年寄りの夏場の心筋梗塞や脳梗塞の予防にもお勧めです。帰脾湯は不眠や不安感、物忘れがある場合にお勧めです。
【肺虚労】
息切れや風邪をひきやすい、咳をしやすい、肌が乾燥しやすく便が乾燥しやすいなどの特徴があります。また、顔色が白く、声が小さく弱い方に多くみられます。これらの症状は中医学では肺の弱りと考えますので、肺の機能を高める漢方薬を飲むことが大切です。
代表的な漢方薬は衛益顆粒や麦門冬湯、または補中益気湯などがあります。特に衛益顆粒は風邪をひきやすい・粘膜が弱い方にお勧めで、乾燥するシーズンに体調を壊しやすい人にお勧めです。
【脾虚労】
脾の虚労は日本人に多くみられます。体がだるく、食欲もあまりなく、食後にお腹が張ったり、また軟便もしくは下痢をしやすいなどの特徴があります。舌の周りがギザギザと歯型が出ている方に多くみられます。
代表的な方剤に星火健胃錠や星火健脾散、補中益気湯などがあります。
【肝虚労】
めまいや目の疲れ、イライラや憂鬱、生理前の体調不良などの特徴があります。デスクワークや車の運転などの頭を使う仕事の人に多くみられます。
代表的な方剤に婦宝当帰膠があります。女性の生理のトラブルに良く使われる漢方薬で、増血作用・卵巣機能改善作用もあるため女性にはとくにお勧めです。目の疲れがひどい場合は菊花のハーブティーがありますので併用すると良いでしょう。
【腎虚労】
腰痛や耳鳴り、むくみ、冷えもしくは火照りなどの更年期障害がみられるなどの特徴があります。また腎は生殖機能を担う重要な働きがあり、腎が衰えると男女ともに不妊症の原因になります。
代表的な方剤に火照りがあるようであれば杞菊地黄丸や瀉火補腎丸など。冷え症が気になるようであれば海馬補腎丸などがよく使われます。また、食べ物もくるみや黒豆、黒ゴマ、山芋などは腎の栄養になりますので意識して摂取するのが良いでしょう。
疲労感や体調不良は体からのSOSです。無理をせずに早急に対処しましょう!





